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2011年6月 4日 (土)

知的余生

渡部昇一「知的余生の方法」を読む。
健康で楽しいだけの余生では何か物足りない。それが知的生活だと分かった。
とても共感できる内容で、自分のシニアライフを組み立てる上で非常に参考になった。
以下、要約。

年をとったら何事につけ頑張らないほうがいい、と言う人がいる。
しかし、人間は何もしなければ、肉体的にも精神的にも崩れていく。物質的なものは捨てても、精神の向上意欲は捨てない。笑われようがけなされようが、最後まで何かを求め、何かに頑張って生きて行こうと思う。ジタバタしていると思われても構わない。
「どうせ死ぬ」と考えた時点で、その人の人生は終わりだと思うからだ。
ささやかな享楽よりも、もっと充実感のある、知的な刺激に富む余生を迎えたい。

仕事中に学んだことが、その会社や地位を離れた途端に、何の役にも立たないことに気づく。通常の仕事のほかに自分の興味のある分野をある程度、極めていった人が、退職後も活躍している。

自分が一番興味がわくこと(内発的興味)を見つけることが重要である。
少しでも早く自分の内なる知的欲求を見つけることが大切である。
もちろん、仕事上の専門分野について、自分の得意とする部分を深く追求していくのもいいだろうし、全く別のことでも構わない。

芸術も学問も、楽しむ境地に至らないと本物でないのだ。本当に楽しむ境地のヒトの作品や演奏や言葉や行動からは、人の魂を揺り動かす何者かが出ているのではないかと思う。「これを知る者はこれを好む者にしかず、これを好む者はこれを楽しむ者にしかず」(孔子「論語」)

やりたいことを、思う存分やればいい。楽しくて仕方がないことならば、犯罪行為でなければ何でも構わない。楽しければ、知的な興味もどんどん湧いてくる。それこそが「知的余生」なのである。

知的生活を衰えさせないためのフィジカル・ベーシスは、知的なことをやる量がどれくらいかということではなく、毎日毎日規則正しく一定の分量をやれるかやれないかに掛かっている。命とは継続であり、脳にとっても継続は力なりと言うことだ。

脳も人間の体の一部であり、その能力の発達にもストレスが絶対必要である。
若い頃に強いストレスを脳に与えないと優秀な脳に育たない。(岡潔)
老人にも適当なストレスが必要であろう。

年を取ると人間は宗教的なことに関心が深まる。それは生きるとは何かと言う哲学的な課題へと人を導くからだ。宗教的なことに興味を持つと、人は飽きることなくやり続けることが出来る。これが、知的生活を形成していく。

ある意味で、定年後にもやりたいことのある者は朝寝坊したいと思うような人であり、定年後にやることが無くなった人は、早起きして朝の散歩しかやることがない人になりやすい、と言えるのかもしれない。

何と言っても、読書こそが、脳細胞を知的に磨き、精神を生き生きと甦らせてくれる最も単純にして、手っ取り早い方法だと思う。だから、特に定年退職して時間に余裕のある余生を生きる世代は、率先して読書にいそしむべきだろう。

また、知力を高めるには、記憶力を高める努力が重要である。
歌詞を何番でも暗記する努力をすれば、脳を鍛え、記憶力を高め、海馬の脳細胞を増やすことに繋がるのではないかと思う。

人は一人では生きられない。何でも腹を割って話せる友人を持ちたい。そして大切にしたい。年を取ってからの「ダメな友」は、①ベースになる思想・信条が違う人、②経済状態の違う人、③教養の差が大きい人。年を取ると我慢して付き合う事ができなくなる。

常に何らかの得るものがある、夜を徹して知的な会話のできる人が、友としては最適なのではないだろうか。

現役の時もそうだが、リタイアしてからも、いろいろな人たちと交わる機会があるだろう。そういう時、会社時代の部下と接するような態度では通用しない。
いつも余裕を持って朗らかに接した方がいい。そうすれば、自然に人はついてくるであろう。

日常のつまらないようなことでも、一生懸命やっていれば、「道」は人生の高みへと通じる、人間性の高みへと自分を引き上げてくれると考えるのだ。人生の道を極めよ。

夢を見るのに、若さは必要条件ではない。さまざまな人生経験を経て、知的修練を積んだからこそ余生で見られる夢もあるのだ。

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