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2012年3月

2012年3月25日 (日)

篆刻教室

  以前から興味を持っていた篆刻の一日教室が近所であったので、行ってきた。
生徒は20人ほどで、ほとんどが同世代の男女。若い人はほんのわずか。
先生は中国人の張大順さん、50歳。中国でも日本でも書と篆刻で有名な方だそうだ。
いろんな賞を受賞し、古代文字の本も出されている。日本に留学して帰国し、現在は日本に暮らしている方だ。気さくでほめ上手なとても優しい先生だった。

  午前の2時間は、理論編。印鑑と篆刻の違いを、分かりやすく解説してくれた。
要するに実用品から発展した芸術だが、使われる文字は篆書と呼ばれる中国の古い漢字。まさに漢の時代以前の文字。篆刻が発展したのは明や清の時代だそうだ。
 
篆刻の基本は「七分書き、三分彫る」と言われ、文字を選んでデザインをするのが主で、彫るのは従。先生の様々な種類の作品事例を見ながら説明を受けた。兎に角、文字の美しさとバランスが素晴らしい。以前、カミさんと行った古河の街で見つけて入った篆刻美術館ですっかり虜になった理由だ。

午後からは実践編。好きな文字を選ぶのだが、無難なところで名字の二文字にした。正方形の石材なので縦長の小篆文字を選んでスケッチした。それを先生が、筆でサラサラと書いてくれた。それがまた実に美しい。それをコピーして裏返しして石材に貼り付け上からマジックインクで塗ると石材に逆字が転写された。

  いよいよ彫刻。刀の使い方を教えてもらい、先生の実演を見てから実践に入った。先生は一文字を10分位で彫ってしまった。朱肉につけて押印すると、美しい文字が浮かび上がる。皆、歓声を上げて拍手する。

  初めてとはいえ、余りにも思うように彫れなくてイライラしてしまう。1時間半ほど悪戦苦闘して、何とか一通り彫ったのだが、朱肉をつけて押印すると、元の文字とは似ても似つかず何とも様になっていない。細い線を残さなくてはいけないのだが、なかなか細く削れないし深く削れない。ちょっと細く削ろうとすると文字の一部が切れてしまう。

  何回か繰り返してから、最後に先生に見てもらう。「初めてでこれ位できるなら、少しやればきっと上手くなるよ」と褒めて頂きいい気持にさせてもらった。先生がザクザクと気持ち良い音を立ててチョッと手を加えただけで、見違えるようにシャープな線に生まれ変わった。切れてしまった線は元に戻らぬものの、何とか見られるものになって感激した。

  大変満足したのだが、ただ元の文字は先生に書いてもらったので、自分の作品とは言えない。やはり文字をデザイン出来るようになりたい。篆刻の前に先ず書道を習いたいと強く思った。小学生の頃、少し習ったので、多少は出来るつもりだが、仕事をするようになってから字が汚くなったし、年賀状を一部の人には筆で書いているのだが、いつもバランスが取れず嫌になっているからでもある。

シニアライフの一つの目標を確認出来た楽しい一日だった。

2012年3月23日 (金)

社会保障費の削減

時代の変化に適応した制度改革が出来ず、財政破綻への坂道を転げていく日本。
高度成長期に無駄使いと大盤振る舞いで、国民の社会保障関係の保険金を勝手に使ってしまった自民党政府と官僚たち。誰も責任を取らず、既得権を離そうとしない。AIJどころの話ではない。
やるべきことを鈴木亘氏が描き出している。増税や公共投資の前に社会保障制度改革。しかし民主党には制度改革の力がない。誰がやるのかが課題だ。
以下、鈴木亘「財政危機と社会保障」講談社現代新書2010の要約。

・持続可能な社会保障制度を実現するには、社会保険への安易な公費投入を削減すべき。

・10年度予算92.3兆円のうちの社会保障関係費27.3兆円は、根拠希薄な公費投入である。
・ちなみに無駄遣いと言われる公共工事は5.8、防衛費は4.8、国債返済費用は20.6兆円
・本来社会保障費は、特別会計の中で完結すべきもの。
・社会保障制度の根幹は社会保険。社会保障費は保険料収入の特別会計から支払われる。

・10年度の年金特別会計は79.1兆円。労働保険特別会計が8.7兆円。計87.8兆円もある。
・ここに福祉施設の建設費・運営費や官僚天下り行政法人や公益法人の人件費・運営費が 賄われている。
・一般会計の社会保障関係費は、生活保護と社会福祉、保健衛生対策で6.6兆円。
・残りは年金・医療保険・介護保険・雇用保険の不足分の公費負担。だから関係費。
・保険料や自己負担額を低くするためのディスカウント料。
・弱者のためだけでなく、高所得者にも一律のもの。身分不相応な大盤振る舞い。
・2013年度対GDP政府債務比率は219.5%。債務の鍵を握る社会保障との戦争が始まった。

・さらに毎年自然増の1.3兆円を認めていたら、財政赤字は拡大する一方である。

・民主党の成長戦略は医療・介護・保育等への公費投入。他の成長産業の足を引っ張る。

・日本経済を牽引する「成長産業」とは、公費や補助金に頼らず自力で成長できる産業。・日本の医療・介護・保育産業は多額の公費投入による料金引き下げで需要が旺盛。
・従ってこの分野を拡大すれば自動的な多額の財政支出増となる。年金も同じ。
・公費以外の保険給付費でも、賦課方式のため現在の高齢者は支払以上の受給。
・しかも赤字国債で将来世代に負担の先送りをしながら社会保障拡大。需要の先食い。
・景気対策としては、消費に消える社会保障費拡大よりも将来の成長に繋がる社会資本整 備の公共事業拡大の方が潜在成長力を押し上げるので良い。
・景気対策としての社会保障費拡大は、既得権として固定化されるので将来財政を圧迫。

・医療・介護・福祉産業の公費による拡大は、他の産業の縮小を伴う。

・潜在成長率を高めるのは、民間企業が自由に競争して技術革新を起こせる環境の整備。

・①労働市場の規制緩和②競争を制限する規制の緩和③民間企業が利用可能な社会資本整備④恒久的投資減税

・日本の社会保障制度の特徴は、①国民皆保険、②職業別の制度分立、③賦課方式の財政方式、④過度の公費依存、補助金依存、⑤高コスト体質、⑥価格規制、参入規制による「護送船団方式」の統制経済、⑦強力な政治的圧力を行使する業界団体、⑧官僚の天下りの多さという8つに整理することが可能。

・若い労働力があふれ、高い成長率によってパイが広がっていった高度成長時代の産物。

・年金は当初積立方式だったが、歴代の自民党政権が人気取りの大盤振る舞いで、保養施設や天下り先の法人の人件費や福利厚生費で積立金を使ってしまった。
・本来積立金は厚生年金で830兆円、国民年金で120兆円存在すべきものが、09年時点でそれぞれ690兆円、110兆円、合計800兆円が浪費されていた。
・この積立不足を穴埋めするために、自転車操業の賦課方式に切り替えられた。
・将来世代は耐え難い高負担と巨額の世代間不公平に直面し、年金制度の維持を政治的に拒否する可能性がある。
・自公政権の100年安心プランは、少子高齢化の加速と、運用利回りの悪化で破綻。
・厚労省は、運用利回りを4.1%にするなどして粉飾して破綻の事実を隠してきた。
・民主党はこれを引き継がざるを得ない。年金財政の立て直しと制度の抜本改革が必要。

・税負担や保険料の引き上げと同時に社会保障費への公費投入を抑制するしかない。

・安易な公費投入が諸悪の根源。保険料が低いままが当たり前になり既得権化。
・国民は「社会保障は拡大して欲しいが、負担は上げたくない」と矛盾した考えを持つ。

・保険料が安いので過剰な需要が生まれ、各分野の待機問題を引き起こしている。
・政府は公費が増えないよう、価格規制や参入規制で社会保障給付費を抑制。
・競争がないので業界団体が強固になり、非効率で質の低いサービスが蔓延する。
・公費投入の多さが、官僚や政治家の利権を生み、業界の高コスト体質が生まれる。

・まずは毎年1.3兆円の社会保障関係費の自然増を認めないことから始めるべき。
・現在、社会保障給付額に定率でリンクされている社会保障関係費を定額とする。
・保険料引き上げ、税負担、公費投入の合理化による支出減で、自然増の財源捻出。
・低所得者への公費投入を厚めにし、中高所得者への公費投入を減少させる。
・参入規制の緩和と料金の自由化により、価格競争・サービス競争で効率化を図る。
・公費サービスと混合して、自由なサービスを追加的に高い価格で購入できる仕組み。
・社会福祉法人等、特定の法人に対する施設整備補助金・税優遇を徐々に廃止する。
・公立である意義の薄い公立の施設(保育所・特養・保健施設)はすべて民営化する。
・公費投入削減を徐々に増やし、一般会計の医療・介護・保育の関係費をゼロにする。

年金、医療、介護の問題は、現在の自分にとって最も身近な問題だが、現在前期高齢者に仲間入りした自分は既得権者でもある。しかし、子供たちのことを考えると、今の方がいいとは言えないのだ。

2012年3月19日 (月)

田舎の両親

土日で田舎にカミさんと行ってきた。
先月、お袋がまた腰の圧迫骨折で入院したが、まだ見舞いに行っていなかったからだ。
妹から、怒りに満ちた、長いメールが来たからでもある。「母親が寂しがっている。親のことをどう考えているんだ。近所や親せきに面倒を見させて恥ずかしくないのか。自分だって働いているので、毎週顔を出すのは大変だ。」と。

まだ、自分も現役で働いているので、なかなか田舎に帰ることが難しい。
土日も結構やることがあるので言い訳にするので、つい帰ることが億劫になる。
本当は、カミさんがもっと田舎に行って両親の面倒を見てもらえると有難いのだが。
自分一人が顔を出すことはまだ出来なくもないが、カミさんが絡むとややこしくなる。

カミさんは、親父とは合うのだが、お袋とは反りが合わないのだ。
一人で行くというと、「私は行かないからね」と言っては、お袋の悪口を言い始める。お袋も自己中で細かいことばかり言うから、分からなくもないが、適当に合わせるということが出来ない。お袋はお袋で、嫁が姑の面倒を見るのが当然と考えているから、顔を見せないカミさんに対して面白くない。

今回は、なぜか素直に応じてくれたので、有難かった。自分が一人で行っても、お客さん状態で、却って迷惑を掛けるだけだから、どうしてもカミさんに行ってもらいたいのが本音だ。やっぱり料理ができることが大きい。

親父は足が悪いと言っても、歳の割に元気で頭もしっかりしている。料理も自分でやるし、助けがないと生活できないということはない。お袋が動けないので自分がしっかりしていないといけないから、ボケる暇がないとよく言う。

病院にお袋を見舞っても、わずかな時間。親父と話すことも限られているから、兎に角時間を持て余す。テレビを見ているだけだ。顔を見せるだけでいいのだと、分かっていても、自分が役立たずでいることに我慢ができない。

親父が元気なうちに、料理ができるようになっておく必要があることを理解した。

2012年3月10日 (土)

日本の新しい成長モデル

■みずほ総合研究所の杉本和行氏が、きのうの日経新聞で「東北発『新・発展モデル』描け」という記事で下記のような主張をしていた。

・「失われた20年」は日本経済社会が大きな5つの構造変化に対応できていないため。
・①バブルの崩壊 ②生産年齢人口のピークアウト ③キャッチアップ時代の終焉
 ④経済のグローバル化の進展と新興国の勃興 ⑤財政赤字の拡大
・赤字の原因は、公共事業と社会保障費の増加、景気低迷と減税による税収減少。
・経済成長のない社会は失業率が高まって活力を失い、社会的摩擦が高まり消耗する。
・復興はインフラの復旧だけでなく、雇用機会を確保して生活基盤を再構築すること。
・東日本大震災の復興では日本経済社会の再構築を先取りすべきだ。

・新しい成長基盤を整えるには、国内外の2つの視点が必要
・グローバル競争に勝ち抜く環境を整備し、TPPに参加して世界の消費者を取り込むこと
・国内の新しいニーズに対して、財・サービスを供給する体制を整備すること
・社会保障や教育は公共部門による供給独占や厳しい供給規制を改革する必要
・農業・水産業に加工・製造も垂直統合した6次産業型の食関連産業の可能性
・再生可能エネルギーや環境技術、これらを組み込んだスマートシティの建設
・日銀は金融機関に投資に必要な長期資金を供給すること
・政治的指導力で、大きな制度改革や規制緩和が必要。

■前半はなるほどと思うが、後半には『違うのでは?』と思うところがあった。
自分としては、今までの知識から次のように考える。

・金融機関に金がないのではなく、デフレで企業の投資意欲が湧かずむしろ金余り。
・新しい成長基盤の整備には規制緩和が必須だが、日本の政治家と官僚にはできない。
・農業・水産業も、医療・介護・子育て・教育も規制や補助金漬け。
・規制に守られた産業に税金を投入しても、経済は成長せず赤字が膨らむだけ。
・世界の消費者を取り込むことは必要なので中国・インド等アジアとのFTP締結が必要。
・TPPで規制撤廃を目論むのは分かるが、米国に日本の市場を奪われる覚悟が必要。
・新成長分野のインフラ整備に、政府が資金投入して軌道に乗せることが必要では。

■朝日新聞では、クルーグマンが、米経済の停滞に対し「政府がもっと支出と雇用を」と主張している。(120309クルーグマンコラム@NYタイムズ)

・景気回復が遅いのは、政府が景気が低迷する中で大幅な支出削減を行っているから。 ・連邦政府は、景気刺激策をとってきたが、州・地方政府が財政難でやむなく支出削減。 ・連邦政府は低金利でお金を借りられるのだから、州・地方政府をもっと援助すべき。
・その金で解雇された教員や警察官の再雇用や中止された道路の改修を復活すべき。

■クルーグマンは、オバマよりレーガンの方がもっと上を行くケインズ主義者だったと、持ち上げているが、ケインズ主義はもはや破綻しているという主張も多い。
本当の経済成長や雇用機会に結び付く公共投資・政府支出のあり方は、簡単ではない。

■90年代の日本の公共投資は尋常でなかったが、本当に効果があったのか疑問だ。    鈴木亘が、このように述べている。

「日本の場合、1990年代にはずいぶんたくさんの大型経済対策を行なって、盛大に財政支出を行ったが、結局、経済成長率は低迷を続け、借金ばかりが急増した。・・・
 まだ学術的に定説になり得てはいないが、一つの有力な仮説は、潜在成長率が下がったのに、それに気づかずに無理な景気刺激を行い続けた結果であるというもの」               (鈴木亘「財政危機と社会保障」講談社現代新書2010)

 潜在成長率とは、設備(資本ストック)や労働力・技術力等をフルに活用したときに達成可能な供給能力からみた成長率のことで、現実の成長率は変動しても中長期的には均せば潜在成長率に落ち着くと言われている。

この潜在成長率以上に成長するように、財政支出等で無理に景気刺激を行っても、賃金や設備、資産などの価格が上昇したり、金利上昇などによって他の需要項目が押し出されたり(経済学では『クラウディング効果』)、円高を誘発することによる需要減少(『マンデル・フレミング効果』)が起きたりして、それ以上に成長することは困難だという。

■藤井聡や中野剛志は、上記の理論はデフレ状況の日本には当てはまらないと主張している。しかし、90年代は公共工事投資にも関わらず、円高が進み輸入ばかりが増え、国内景気は良くならなかったのも事実だ。これをどう考えたらよいのか。

一体、今の日本の状況で、どうすれば経済成長が可能になるのだろうか?
公共工事や社会福祉はどうあるべきなのだろうか?なかなか出口が見えない。

2012年3月 5日 (月)

初孫帰る

札幌の息子が、初孫を連れて2泊3日の里帰りをした。先輩の結婚式に出るついでに奥さんと娘を連れて帰ってきたのだった。生まれてから3か月を過ぎたところだが、お食い初めとお宮参りをした。初孫は本当にかわいく、3日間ずっと顔を眺めていた。ずっと抱いていると、腕が痛くなるのだが、そんなことは忘れて、笑ったと言っては喜び、気持ちよさそうに眠ったと言っては喜んだ。写真もたくさん撮った。

3人を羽田に車で送って家に帰ると、家の中がシンとして寂しいのと同時に、ドッと疲れが出た。特にカミさんは嫁さんとうまくやろうと緊張したり、精一杯もてなそうと奮闘していたのでぐったりしていた。嫁さんの方は、夜中に娘の世話をするからあまり寝られなかったはずだが、現代っ子らしくあまり細かい所に気を回さず、マイペースなので疲れた様子はなかった。

孫が来ると嬉しいけれど後が疲れると聞いていたが、初めてそれを体験した。慌ただしいが楽しい週末だった。

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  • 鈴木亘: 「財政危機と社会保障」
  • 波頭亮: 「成熟日本への進路」
  • 中野剛志: TPP亡国論
  • 増田悦佐: 日本と世界を揺り動かす物凄いこと
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