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2012年9月 1日 (土)

2012年8月の読書メーター

2012年8月の読書メーター
読んだ本の数:6冊
読んだページ数:1685ページ
ナイス数:67ナイス

■冥土めぐり
家族から理不尽な仕打ちを受けて、人生に絶望している主人公奈津子が、旅に出て思いがけない形で救われて行くという話。ちょっと理屈っぽくて感動は小さかったが、似た話は極めて身近にあるだけに考えさせられた。人間は皆何らかの不遇に遭って悩みを抱えている。現実を受け入れられずに何かに依存する人や絶望する人、現実を受け入れ前向きに生きる人と様々だが、幸せになれるのは、夫のように不遇を呑み込んで前向きに生きる人だけだ。母や弟にような寄生人間は許せないが、そんな人間と長い時間いると、自分の欲望を失ってしまう方が悲しい。
読了日:08月30日 著者:鹿島田 真希
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/21719762

■往復書簡
こういうミステリーもあるのかという新鮮な驚きがあった。手紙形式だから、読みやすく、必ず次の返事で大きな展開があるから、ワクワクしながら読み進めることが出来る。手紙のやり取りの中で、次第に事件が浮かび上がってくる意外性。そしてそれが思わぬ方向に展開していく面白さ。そして結末でのドンデン返しの驚き。この同じパターンで、3つのストーリーが語られている。共通するテーマは、過去の事件によるトラウマの清算。その事件は凶悪犯罪というのではなく、こんな時あなたならどうすると問いかけてくるような身近に起こりうるような事件。
読了日:08月27日 著者:湊 かなえ
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/21629693

■楊令伝 7 驍騰の章 (集英社文庫)
楊令と童貫の戦いが始まった。圧倒的な兵力の差がある中で、楊令の戦い方はやはり予想外のものだった。楊令の奇襲は、単に迫る宋禁軍を足止めするためのものではなく、古参から伝染した新兵たちの童貫への恐怖心を振り払うためだった。心が負けていては戦えないのだ。古延灼と趙安との戦いも壮絶だった。息子のために身を投げ出した古延灼、その話を聞いて狂うように一人で童貫軍に切り込む楊令。親子の絆は特別のものということか。緒戦の痛手にも動ぜず、童貫は超然と全軍進攻を指示した。さあ、楊令はどう受ける。
読了日:08月21日 著者:北方 謙三
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/21487644

■アドルノの場所
なぜ「アウシュビッツ」が起こったのか。アドルノは様々な「反ユダヤ主義」の原因を分析しているが、特定の歴史的背景に起因するものでなく、近代文明に内在するという指摘が重要である。近代の競争社会は、内なる自然である欲望・衝動の支配・抑圧を前提とするが故に、自然は秩序を乱す「恐るべき自然」(生理的拒否反応)として現れる。社会は、その秩序を歪める者(ユダヤ人)に対し不寛容であり、暴力的にならざるを得ない。そして絶えず反省する理性により、恐るべき自然と宥和する社会が構想されねばならないというのだが、明確な答えはない。
読了日:08月16日 著者:細見 和之
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/21344776

■楊令伝 6 徂征の章 (集英社文庫)
南北の動乱で多くの兵を失った宋の禁軍は、童貫が元帥となって立て直しを図る一方、国の中の国の様相を呈し始めた梁山泊はさらに勢力を拡大して、ともに戦いの準備を整えてきた。その間、宋では、権力者間の争いや幹部の勝手な動き、利権確保などが目立ち始めた。堅固だった大きな集団が崩壊する前兆のようだ。梁山泊では楊令が、致死軍の老いた統轄を交代すべく若き侯真に対し昇格試験を課す。そのやり方が凄かった。扈三娘と聞煥章の関係も壮絶だった。子供のためにとことん自分を犠牲にする母親の強さを見た。いよいよ楊令と童貫の戦いが始まる。
読了日:08月11日 著者:北方 謙三
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/21211930

■新しいヘーゲル (講談社現代新書)
始めは少々苦戦したが、最後の第5,6章「近代とはどういう時代か」「ヘーゲル以後」で、著者の問題意識が分かった。ヘーゲル哲学は西洋近代社会を支える近代哲学の集大成であり、現代哲学はヘーゲル批判から始まっている。近代文明は様々な矛盾を抱えているが、著者が大きな課題として取り上げるのは反近代のナチズムがなぜお膝元のドイツで支持され、なぜ近代哲学はそれを阻止できなかったのかである。明確な答えがまだ出ていないようだ。今だ自由で自立した近代的個が確立していないと言われる日本では、より一層深刻な課題であると思う。
読了日:08月07日 著者:長谷川 宏
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/21125760

▼2012年8月の読書メーターまとめ詳細
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