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2013年10月

2013年10月28日 (月)

長男の婚約

 長男が婚約したので、昨夜親同士の顔合わせがあった。本来なら結納式という面倒な儀式があるのだが、本人たちの希望で略式の顔合わせ会となった。なにしろ二人はもう今年の2月から同棲中なのだ。

 息子が結婚の意思を示さず同棲を始めたので、彼女の御両親に申し訳なくて仕方がなかったのだが、やっと決めてくれたのでホッとした。うちは夫婦とも、彼女に初めて会った時から気に入っていたので、本当に良かった。息子も彼女の家には何回か行っており、気に入られていたようで全く問題はなかった。見知らぬ関係は、親同士だけだった。

 顔合わせは、やはり緊張したが、彼女の御両親は飾らないいい人達で安心した。お父さんはとてもお酒が好きらしいのだが、母と娘は飲み過ぎを心配して車を運転させてきていた。お母さんは明るくサッパリした人で、彼女の性格が理解できたような気がした。話題が尽きて気まずくならないか心配したが、何とかぎりぎりセーフで終わることが出来た。

 最後に息子から、自分の決断が遅れ、皆さんにはご心配をお掛けしたが、これからは自分が責任をもってキチンとやっていくと決意表明があり、チョッとグッときた。そう、男は決断できないといけないんだと心でつぶやき、肩を叩いて「頑張れよ」と声を掛けた。

 あとは結婚式を早くあげて欲しいのだが、入籍を先にして結婚式は来年の夏になりそうだとのことだった。式を海外でしたいが、二人の仕事の関係もあり、夏休みの頃がいいらしい。まあその辺は、二人で決めればいいことだ。自分の二人の子供のうち、次男はすでに結婚しているので、これでやっと肩の荷が下りた。

2013年10月26日 (土)

五木寛之×梅原猛「仏の発見」を読む

 幼少期も現在も孤独と悲哀を経験したと言う二人が、自分の過去や作品を通して仏教とりわけ法然や親鸞について語る。

 二人は環境破壊や戦争を引き起こす現代の人間中心主義/科学的合理主義及びその背後にある、自然支配的で排他的なキリスト教的世界観に限界を見る。そして仏教の不殺生の戒律、大乗仏教の大衆救済思想、日本仏教の自然との共生思想、親鸞の悪人正機説等々に可能性を見ている。

 対談故に詳細はよく理解できないが、大きな構図は見て取れる。自分には宗教心はないが、人間が恣意で動かしている世界は滅びるという危機感は共有できる。

 豊かな生活のために森を切るのも、生き残るために人を殺すのも人間の本性だ。どんなにいい人でも心には悪があり、どんな悪人の中にも仏がある。これまでは欲望に基づく人間の善を追求してきたが、21世紀は自分の悪と向き合う時代だと言う。

 仏とは、世界の苦の原因である欲望を完全にコントロールする人間のことらしい。知恵を磨き瞑想し戒律を守ることが欲望を減らす。イチローは仏に近いのだそうだ。

 しかし自分には、欲望を抑えた信仰者が欲望に満ちた権力者に支配される世界も見え隠れする。宗教はそれをどう克服するのだろう。

梅原猛は、平安末期の天台本覚思想を日本の財産だと評価する。自然のすべてに仏性を認める考え方には、自然と共に生きた縄文時代のアニミズムの影響が見られると言う。

 面白いのはそこには、幼子と長老を敬う思想があるという指摘だ。彼らは欲望から離れているからだそうだ。世界の真相を観るためには子供の心が必要だと言う。欲望にとらわれると、世界が見えなくなり自分も見失うからだ。

 仏教は、いいことを言ってはいるが、念仏を唱えれば悪人でも救われるとか、大衆を救うためにあの世から戻って来た等の考え方にはとてもついて行けそうにない。それでも、多少の関心が出てきたのは、やはり歳のせいか。

2013年10月16日 (水)

堤未果「(株)貧困大国アメリカ」を読む

同シリーズの第3弾で完結編。オバマ以降、一層ひどくなった貧困大国化が描かれる。政治家の口先やマスコミに騙されてはいけないと警告する。彼らはスポンサーである巨大多国籍企業や巨大銀行のために政策を決めるから、アメリカはもはや民主主義ではなくコーポラティズムだと断ずる。独占禁止法は解禁され、地域に根差した小規模産業を壊滅させ、1%の勝ち組が99%を奴隷のように収奪し使い捨てるシステムが完成した。これを世界に広げようとするのが自由貿易協定だ。すでにイラク、インド、韓国などが組み込まれた。次の標的は日本。

 読んでいると怖くてアメリカの食品を口にできなくなる。効率よく利益を上げるために成長剤が使われ農薬に耐えるよう遺伝子組み換えが行われる。家畜に至っては工場化で詰め込まれストレスで病気になると抗生物質づけになる。人間の身体にいいはずがないこれらの処置に対する規制はどんどん緩和される。小規模農家は巨大企業の下請けになり機械や農薬や種子や飼料を高い値段で買わされ、借金地獄に陥って自殺しか逃れる手段がない所まで搾り取られる。これを著者は「株式会社奴隷農場」と呼ぶ。これが世界に広がりつつある。始まった米国市民の反撃に希望の光を見る。

2013年10月14日 (月)

元上司からの贈呈本を読む

 先日、留守中に届いたMさんの書いた本を読み終った。Mさんは退職した会社の元上司だった方である。自費出版の贈呈本で285ページもある。添えられた手紙によると、Mさんは退職して15年、今年80歳になるそうだ。14歳も離れているとは思わなかった。「傘寿からの遺言」だと本人が言うこの本の中身は2005年5月、彼が72歳の時に、30年間住んだ町の町内会組長になって苦労が始まった時から、80歳までの約9年間の日記をベースにした創作であった。丁度退職した自分にとっての今後の15年に相当する期間だったので、興味深く読んだ。

 創作だとは言え、登場人物の名前を除けば、勤務時代のことや退職経緯のことに関しては思い当たることもあり、ほとんど体験をベースにしているようだった。退職後の彼の日常生活がリアルに描かれていると考えられる。登場人物は地域の人、勤務した元会社の人、高校・大学時代の友人たち。登場人物には自分や会社の元同僚の名前も出て来るが、地域の人の名前として使われている。元会社も立場も微妙に変えてあり、自分の分身をほかの名前で登場させているようだ。いずれにしても知り合いに配られた本だから、知り合いの名前が違う人物に充てられている場面では、思わずニヤリとさせられた。

 中心テーマは、自宅の前のごみ置き場を巡っての町内会や市役所、近隣とのトラブルであり、彼と夫人の苦労している様子が克明に描かれている。将来小説にでもしようと思ってメモしていたとは思えないが、兎に角細かく記録されている。町づくりやコミュニティの在り方に対する意見も随所に述べられている。現役時代にははっきり言えなかっただろう政治的な意見も述べられている。勿論これは創作であり、意見は主人公のものという言い訳は立つのだが、やはり著者の意見だろう。そうだったのかと頷ける部分も多かった。

 役所や町内会上部組織の人たちの「上から目線」を嫌い、あくまでも「下からの目線」に拘り身近なものにはっきりした意見をもって物を申すという考え方が伝わってくる。嫌悪施設であるごみ置き場を通して、近隣や役所の身勝手に対して憤っているのだが、米軍基地がごみ置き場と似ているとして沖縄の人たちに共感したり、政府の原発事故への対応の悪さを、身近な行政に重ねてみたりしているところが、なかなか面白かった。

 町内会のこと以外では、夫人との会話、母親の介護、朝の散歩、碁会所、元会社の同僚との交流、謡の教室、高校や大学の同級会、孫たちとの時間、美術鑑賞などの日常生活も伺えて、退職後どのように過ごしてきたのかが良く分かって楽しかった。

 一番印象に残ったのは、「会社とは竜宮城のようなものだ」というフレーズ。「竜宮城から帰って、玉手箱を開けてみれば、周りは知らない人ばかり」と彼は嘆き、仕事にのめり込み過ぎていたと反省している。彼よりは多少は準備してきた気もするが、自分も似たり寄ったりだ。

 「家庭のことも顧みず、近所の人とも付き合いもせず、浦島太郎になるまで、一生懸命働いてきた一人である。それらの集大成の結果、今の日本があるのではないか。現役中にやりたかったことを、これからやりたいと思っていた。
 ところが、身近な些細な問題で、ごく普通の年金生活者が、安穏と生活しては行けないような状況に、遭遇したのかも知れなかった。これをきっかけとして、町内のことを知ることになるのだが。」

 自分の最近の生活の変化をみても、なかなか安穏とした生活を送ることは難しいものだと感じた。でも彼の場合、その苦労をこの一冊の本として結実させたのだから素晴らしい。何事も現実から逃げずに、真摯に取り組めば何か得るものがあるということだろうか。

2013年10月 2日 (水)

2013年9月の読書メーター

2013年9月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:896ページ
ナイス数:58ナイス

気功 その思想と実践 〈増補新装版〉気功 その思想と実践 〈増補新装版〉感想
健康のために気功・太極拳を続けているが、練習方法ではなく気の理論についてここまで深く総合的に解説した本は初めてで、大変勉強になった。気功の本来の目的は、人間の生き方の作為性・囚われをなくして自然さ=仏教の悟り・自由な心を取り戻すことであって、健康法はほんの入り口であることを知る。「気功とはすぐれた自己洗脳術」という苫米地英人氏の理論にも繋がる。後天意識(思考・知識)を捨て、無為無想で心静かにして、先天意識(魂、潜在意識)に還り、天地との一体感を感じ、万法唯心(万物は心から生まれる)を知ることだという。
読了日:9月25日 著者:廖赤虹,廖赤陽
ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)ルポ 貧困大国アメリカ II (岩波新書)感想
「行き過ぎた市場原理」による米国社会の崩壊を告発したルポの第二弾。今回も教育・社会保険・医療・刑務所の民営化で、貧困層が増産されていく様が描かれているが、前回のブッシュ時代に対し、今回はオバマの時代である。リーマンショック後に大きな期待を背負ったオバマであったが、「変化」は起こらなかった。期待で国民の声が小さくなった分悪くなった。結局、政治家は企業の献金で動いているのだ。おかしいと声を上げ続けることが何よりも重要だと、著者は主張する。日本はアメリカの後を追ってはいけないと強く思う。
読了日:9月8日 著者:堤未果
ナショナル・アイデンティティと領土ナショナル・アイデンティティと領土感想
戦後ドイツが東西に分割されただけでなく、領土の1/4を失ない14百万人のドイツ人が被追放者となった悲劇を全く知らなかった。ソ連が領土拡張のためポーランド国境をドイツ領内に移動したためだ。戦後ドイツはこの国境を暫定としていたが、1970年ブラント政権は国境線を承認し領土を放棄した。但し法的には、戦前の帝国が存続したため、被追放者の抵抗の拠り所となり、90年の東西統一、国境条約締結まで論争が続いた。何故、ドイツは領土放棄ができたのかを克明に追跡した大変貴重な研究だ。ドイツの過去の克服のしかたに感銘を受けた。
読了日:9月7日 著者:佐藤成基

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