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2013年10月26日 (土)

五木寛之×梅原猛「仏の発見」を読む

 幼少期も現在も孤独と悲哀を経験したと言う二人が、自分の過去や作品を通して仏教とりわけ法然や親鸞について語る。

 二人は環境破壊や戦争を引き起こす現代の人間中心主義/科学的合理主義及びその背後にある、自然支配的で排他的なキリスト教的世界観に限界を見る。そして仏教の不殺生の戒律、大乗仏教の大衆救済思想、日本仏教の自然との共生思想、親鸞の悪人正機説等々に可能性を見ている。

 対談故に詳細はよく理解できないが、大きな構図は見て取れる。自分には宗教心はないが、人間が恣意で動かしている世界は滅びるという危機感は共有できる。

 豊かな生活のために森を切るのも、生き残るために人を殺すのも人間の本性だ。どんなにいい人でも心には悪があり、どんな悪人の中にも仏がある。これまでは欲望に基づく人間の善を追求してきたが、21世紀は自分の悪と向き合う時代だと言う。

 仏とは、世界の苦の原因である欲望を完全にコントロールする人間のことらしい。知恵を磨き瞑想し戒律を守ることが欲望を減らす。イチローは仏に近いのだそうだ。

 しかし自分には、欲望を抑えた信仰者が欲望に満ちた権力者に支配される世界も見え隠れする。宗教はそれをどう克服するのだろう。

梅原猛は、平安末期の天台本覚思想を日本の財産だと評価する。自然のすべてに仏性を認める考え方には、自然と共に生きた縄文時代のアニミズムの影響が見られると言う。

 面白いのはそこには、幼子と長老を敬う思想があるという指摘だ。彼らは欲望から離れているからだそうだ。世界の真相を観るためには子供の心が必要だと言う。欲望にとらわれると、世界が見えなくなり自分も見失うからだ。

 仏教は、いいことを言ってはいるが、念仏を唱えれば悪人でも救われるとか、大衆を救うためにあの世から戻って来た等の考え方にはとてもついて行けそうにない。それでも、多少の関心が出てきたのは、やはり歳のせいか。

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