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2014年4月

2014年4月29日 (火)

「日本絵画の魅惑」展を観た

 出光美術館で「日本絵画の魅惑」展を観た。

 鎌倉時代の絵巻から江戸時代の浮世絵や琳派に至る83点の絵画と30点の工芸品が、ジャンルごとにまとめられていて分かり易かった。絵巻は「アニメーションの源流」と解説されていたが、絵巻の絵の描き方が昔見た紙芝居の絵に似ているような気がした。

 今回の収穫は、長谷川等伯の「松に鴉・柳に白鷺図屏風」を見られたことと、仙厓の紙本墨絵を8点見られたこと。

 等伯の絵は、狩野派の華麗でやや型にはまった静的な感じに対し、墨の濃淡だけで描いたシンプルな線が力強くダイナミックで、静かだが生き生きとしていて、とても感動的だった。現代に通じる日本絵画の斬新さが、そこには確かに感じられた。

 仙厓の絵は、以前「○△□」を見たことがあったが、初めてたくさん見られ、改めて彼の作品の良さが分かった。門徒の悩みに絵で答えているのだが、そこには直接的な答えはなく禅問答のようで面白い。暗示的な絵はどこかユーモラスで、悩みなんか笑い飛ばせと言っているかのようで楽しかった。

2014年4月15日 (火)

水野和夫「資本主義の終焉と歴史の危機」を読む

 著者は、「長い16世紀」のイタリアで起きた「利子率革命」が、中世封建制の終焉と近代の幕開けの兆候であったことから、日本で続く超低金利が近代資本主義の終焉のサインであると説く。

 資本主義とは、余剰利益を再投資し資本の自己増殖を推進する仕組みだが、「中心」が利潤率を高める事ができたのは、収奪できる「周辺」が存在したからである。

 今や地球上に「周辺」が少なくなったため、延命のため国内に貧困層という「周辺」を創り出して利益を確保し、その結果、民主主義を崩壊させたのだと言う。やや強引ながら単純明快な理論はかなり分かり易い。

  電子・金融空間を開拓し資本主義の延命を図った米国はリーマン・ショックで破綻し、近代化を目指した新興国も先進国の消費低迷で輸出が行き詰まり、技術で世界を制した日本は、欧米に先行して資本主義の臨界点に達しバブルになった。政治的に国民国家を超えようとしたEUも資本を抑制できず欧州危機に陥った。

 今や資本の使用人となった国家の成長政策は、財政危機とバブルをもたらし、雇用を犠牲にしながらグローバル資本に富を集中させる。

 民主主義を守るために、グローバル資本の暴走にブレーキを掛けつつ、安定したゼロ成長社会を構想するしかないと説いている。

 最近起こっている様々な出来事の本質を、すっきりと整理してくれた。

2014年4月 5日 (土)

2014年3月の読書メーター

2014年3月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:1011ページ
ナイス数:115ナイス

空中庭園 (文春文庫)空中庭園 (文春文庫)感想
家族とは何かを考えさせる小説。「何事も包み隠さない」ことを家族のルールにした一見明るい一家族だが、娘・父親・母親・祖母・息子の家庭教師?・息子の6人が、家族に隠している秘密を読者に明かすという構成。家族はまとまっているように見えて、実はバラバラなのだ。舞台となっている郊外の団地、ショッピングセンター、ラブホテルも、その秘密行動も、極めて現代的であり乾いた社会を象徴している。それでも辛うじて人々が家族幻想を持つのは、社会が子育て機能を必要としているからだろうか。佐藤優氏の推薦本。
読了日:3月31日 著者:角田光代


灰色の虹 (新潮文庫)灰色の虹 (新潮文庫)感想
冤罪で刑期を終えた男が、復讐のために自分を陥れた刑事・検事・裁判官・弁護士・目撃者を次々に殺していくというストーリー。殺人事件そのものよりも、冤罪が本人・婚約者・家族にもたらす悲劇が丁寧に描かれ、そのような冤罪なぜ行われてしまったのかが大きなテーマとなっている。それ故に、殺される人たちの人間模様が丁寧に描かれ、それから彼らがなぜ復讐の対象になったかが犯人の視点で明らかにされる。事件を解き明かした刑事のように、自らも絶望感と復讐心を持った経験がなければ、この悲劇は理解できないかも知れない。冤罪は恐ろしい。
読了日:3月8日 著者:貫井徳郎

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お薦め本

  • 鈴木亘: 「財政危機と社会保障」
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  • 増田悦佐: 日本と世界を揺り動かす物凄いこと
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