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2014年8月 3日 (日)

2014年7月の読書メーター

読んだ本の数:7冊

読んだページ数:1867ページ

ナイス数:76ナイス

血の裁き(下) (講談社文庫)血の裁き(下) (講談社文庫)感想
自分を守るために、戦争犯罪者たちに加担し始めた外科医ハモンドだったが、いくつものリスクの大きい苦しい選択の過程で、加担することの罪の意識に目覚め、さらには積極的に彼らと闘うことに姿勢が変化する。それによりハモンドへの感情移入は強くなり、何度も押し寄せる危機にハラハラさせられる。アルコ、ジネタ、ヴィダーという陰のある人物達に絡んだ物語がそれぞれに展開し衝撃的な結末を迎える。繰り返されるドンデン返しに小気味よく翻弄される。サスペンスとして優れているだけでなく、民族浄化の犯罪に対する著者の怒りが伝わってくる。
読了日:7月31日 著者:ロバート・ゴダード
ある人物から手術を依頼されたことのある英国外科医ハモンドが、そのせいでとんでもない事件に巻き込まれていく。その人物とはセルビアのミロシェヴィッチ大統領の要請でボスニアやコソボで大量殺戮を行った民兵組織の元リーダー・ガジ。2001年にユーゴスラヴィア紛争がNATOの介入により収められた8年後の設定で、ベオグラードが舞台。私生活で弱みを抱えているハモンドは、ガジの娘の難題をどう乗り切るか。思わぬ展開の連続で息をつかせない。ジネタも気になる。今なお完全には解決していいない複雑な民族問題にも関心を持った。
読了日:7月27日 著者:ロバート・ゴダード
武術研究家の甲野氏とトレーナーの松村氏の対談。甲野氏に学んで松村氏が開発した「骨ストレッチ」の紹介が中心。それは、スポーツの常識を覆す考え方で、身体を痛める筋トレを全否定。筋トレは身体の特定の部分を肥大化させ、硬化させてしまうから、身体の自由な動きを妨げるという。全ての骨を連動させて動力を作る方がラクで、筋肉はそれに従う。団扇でいえば、柄が骨で扇が筋肉。この身体の使い方は武術のそれであり、日本の古い生活習慣の中にも根付いているそうだ。短距離の桐生選手が実践して成果を上げているというから、興味津々。
読了日:7月26日 著者:甲野善紀,松村卓
「人は死ぬと生れ代わる」という言伝えを題材にして、武田家統治下にある笛吹川畔の家で暮らす農民家族を巡る生と死を、数世代に渡り描いた物語。男たちは、手柄を夢見て戦に出掛け、女たちは子供たちが死に行くことを引き止めるという繰り返しが世代を超えて淡々と続く。戦争が持つ魔力と悲劇のテーマは、時代を越えて現代でも通じるものがある。その家族は代々お屋形様に恨みを持っているにも拘わらず、「お屋形様のおかげ」と命を懸けに行く子供たちを、必死に追いかける母親の最後のシーンのみが圧巻。淡々と続く前段はそのためにあるようだ。
読了日:7月22日 著者:深沢七郎
著者は元外交官。二度に渡り英国の首相を務めたウィンストン・チャーチル(1874-1965)は、母親の影響で日本文化に敬意を抱いており、政治的にも一貫して日本に好意的だった。本書は、明治維新以後の日本の歴史に深く関わった彼の思考と行動の軌跡を具体的に辿っており、日英同盟を強く支持していたチャーチルが、軍国主義に突き進む日本をどのように見たか、何故同盟を終焉させたのかが、非常に良く分かった。もし彼の戦争回避の忠告を受け容れる器量の政治家が日本にいたならば、歴史は大きく変わったと思うと残念だ。
読了日:7月18日 著者:関榮次
「姥捨伝説」を小説化したもので、食料の乏しい村の人減らしという非人間的な慣習が題材である。それがいかに過酷であるかは、村人たちの様々な対応で表現されているが、老母おりんと彼女を捨てに行く息子辰平の対応は、悲惨な印象を超えて何故か清々しさや美しさすら感じさせる。村の掟を当然のように受け入れ準備するおりんの強さにも、最後まで母親への愛情を切らさない辰平の優しさにも共感する。おりんの強さの裏には家族への優しさがあり、辰平の優しさの裏には掟をも破る強さがある。共通するのは利他の心でありそれが感動を呼ぶのだ。
読了日:7月10日 著者:深沢七郎
本書は、17世紀から現代にいたるまでのイギリス帝国の起源から凋落までの歴史を、アジア諸国との相互関係に重点を置き考察した画期的な論考。19-20世紀転換期のイギリスは、現代のアメリカのように、圧倒的な経済力と軍事力、文化力を持って世界を支配していたことが良く分かり、改めて驚かされた。第二次世界大戦を除き、幕末から明治維新、日清日露から第一次世界大戦まで、日本はイギリスの大きな影響下にあり、新興工業国日本と金融大国イギリスが相補的関係で発展したというのも初めて知った。帝国主義とは何か、大変勉強になった。
読了日:7月5日 著者:秋田茂

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