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2014年11月 4日 (火)

2014年10月の読書メーター

2014年10月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1225ページ
ナイス数:104ナイス

我が家の問題 (集英社文庫)我が家の問題 (集英社文庫)感想


どこの家庭にでも起こりうる問題をテーマに、夫・妻・子供の立場から描いた6つの短編。「どうやら夫は仕事ができないらしい。」というように、一行目から問題が書かれているので入り易い。テーマは一人の時間、仕事の能力、両親の離婚、会社のストレス、実家との関係、主婦の生きがいと、思い当たる問題ばかりだから、どう危機を乗り越えたかが気になって一気に読んでしまう。悶々とした後、周りに相談し、次に直接ぶつかり合って、最後はすっきり、というパターンがやや物足りない。家族の幸福感は伝ってくるのだが、現実はもっと厳しい?
読了日:10月30日 著者:奥田英朗

霊性=宗教意識に関する二つの講義録。福島原発事故が日本人の霊的未熟に由来するとの問題意識。内田氏は、ユダヤ教研究・合気道に通底する「霊性」を語り、釈氏は大拙の「日本的霊性」を読み解きつつ浄土真宗を語る。人知を超えるものの存在、人間の認知的流動性の過剰が生み出す非人間的な部分、社会を支える四つの柱における人間的領域の境界線を守る歩哨の必要性、歩哨に必要な微細な情報を感知するリーディング能力。そこまでは理解できるが、何故それらが宗教に繋がるのか、宗教は直感でしか分からないと言われると、理解不能になる。
内田氏によれば、社会を支える四つの柱とは、司法・教育・医療・宗教。歩哨は裁き人・教師・医師・聖職者。歩哨に必要な資質は、共身体形成能力(=他者の思考・感覚に同期し共生する力)。これに対立する資質は、他者を支配・占有・収奪する自我肥大で、集団を破壊する。だから四つの柱は市場化してはならないという。社会論として非常に説得力がある。ただ宗教とは、この世のものではない「超越的なもの」に対しどう振る舞うかを教えるものだとしているが、宗教心のない者にとってはやはり良く分からない。
読了日:10月28日 著者:内田樹,釈徹宗

本書は、安倍政権の解釈改憲による集団的自衛権行使容認への批判とその根拠、さらに政策の対案を提示している。集団的自衛権は、個別の軍事同盟で発動されると、冷戦期のように違法な軍事介入の口実に使われたり軍備拡大競争に繋がるという反省のもとに、国連のような集団安全保障で対処すべきだというのが現在の安全保障の流れだと著者はいう。更に、日本は武力紛争に参加するのではなく紛争を調停する国になるべきだと提案している。国際法上の自衛の3要件、侵略の定義などを詳しく説明しているので、議論の前提として読まれるべきだと思う。
読了日:10月23日 著者:松竹伸幸

人間は歳を取るにつれて身体が硬くなるが、それは緊張によるストレスと運動不足で、筋肉が固まり周囲の骨と一体化して動きが制限されるようになるからだという。それがまた脱力不足・運動不足に繋がるだけでなく心にも大きな影響を及ぼす。そこで筋肉をゆるめ骨や関節の自由度を高めるために、著者は、身体をゆすりゆらしてゆるめる運動である「ゆる体操」を開発した。運動嫌いでも気軽に取り組め、飽きずに続けられ効果も高いという。擬態語と組み合わせ脳もゆるめるところがユニーク。「ゆるむこと」が身体だけでなく社会にも必要と説く。
読了日:10月23日 著者:高岡英夫

最新の芥川賞作品。文芸春秋にて。写真集に出た立派な家に異常な関心を持つ女性、その女性を見る同じアパートに住む弟、それを見る姉の「わたし」という鳥瞰図的な構成。作者は、家・街・場所を見て、それに関係した目の前にはいない人のことを想像するのが好きだという。人の住む家の気配や色合い。この小説はまさにそれがテーマ。見えるとは意識されていないものを見るための徹底した観察と表現力は凄い。それが「不要な洗練」「趣味的」「作品の面白さを掴み損ねた」との評価にも繋がるが、趣味に合えばその感覚を味わいつつ楽しく読める。
読了日:10月3日 著者:柴崎友香

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