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2014年12月 4日 (木)

2014年11月の読書メーター

読んだ本の数:3冊
読んだページ数:836ページ
ナイス数:116ナイス

沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)沈みゆく大国アメリカ (集英社新書)感想


米国における政府と企業の癒着を告発してきた著者のルポ第4弾。今回は、オバマが達成した国民皆保険制度の欺瞞性を告発する。全国民の保険加入が義務化されたのだが、政府が口出しできないため医療費が高騰し、結局国民は破産か死を選ぶしかない仕組み。国民の命が商品として扱われ、医者も利益追求の歯車にされる。食料・教育・刑務所等のビジネス化で起きた貧困大国化と同じ構図。ウォール街の投資家と巨大企業が金の力で政府に規制緩和させて寡占化を進め、価格支配で生活・社会・国を破壊してきたという。全く許しがたい横暴だ。
恐ろしいのは、ウォール街の次のターゲットが日本だということ。著者が言うように、世界が羨む日本の国民皆保険を何としてでも守らなければならない。司法・教育・医療はビジネス化してはいけない。本書を読むまで、安倍政権が既に成立させた「国家戦略特区法」が、実はウォール街の戦略の一部であると気づかなかった。知らなかったでは済まないだろう。「無知は弱さになる」という著者の言葉を噛み締めたい。
読了日:11月28日 著者:堤未果

4つの短編からなる作品集。作者あとがきにあるように、4編は、いずれも何かを卒業して、新たな何かが始まるという物語である。そこには必ず誰かの死が絡み、なにかしら身に覚えのある親子の葛藤が描かれているから、読む者は緊張を強いられる。しかし、終わりには和解が用意されており「ゆるし/ゆるされる」から、最後は温かい気持ちになれる。4つ目の「追伸」は、自分にとっては実にリアルなテーマを扱っており、主人公の気持ちが痛いほど分かった。美しすぎる結末だが、見習えたらと思った。いつまでも過去に縛られていてはいけないのだ。
読了日:11月26日 著者:重松清

凄い本だ。37歳の俊英が、日本の「戦後=平和・民主主義」は、米国の戦略に基づく虚構であり、真の「戦後」とは敗戦の帰結としての対米従属(沖縄・TPP)と東アジアに対する敗戦否認(天皇制・靖国参拝)とのセットであると分析した。敗戦を否認するが故に、対米従属という敗北が無期限に続く。この永続敗戦から脱するには、ドイツのように政府国民が一体となり、敗戦を認め戦争責任を明確にするところから始めるしかない、でなければ米国からもアジアからも見捨てられると説く。日本の政治に対するモヤモヤが一挙に吹き飛んだ。

米国の衰退・中国の台頭に伴い両国の対日戦略が変化する中、日本は逆に露骨で危険な戦前回帰を始めた。権力者たちは、建前の言葉で国民を騙し、不都合な真実は隠し、民主的な議論を避け、密かに独断で本音を実行してきた。戦争責任問題を曖昧にしてきた成り行き任せのいい加減で無責任な日本システムは戦前から何も変わっていない。だから福島原発事故の責任を誰も取らない。恥ずかしい話だ。これはもはや政治家だけの問題ではなく、国民全体の問題でもある。騙される方にも責任があると思う。一億総無責任。まずは個々人が真実に目覚めることか。

「戦後の終り」を告げるものとして、三つの領土問題、北朝鮮問題も詳しく検討しているが、これらの問題にも永続敗戦の構造が深く絡んでいることを教えられた。同時に、「国家はそもそも他国に対し道徳的でない」ものであるから、政治の世界では、道徳心や感情に基づく議論は意味がなく、客観的な事実と冷徹な論理に基づく議論が重要な事を改めて気づかされた。
 
読了日:11月11日 著者:白井聡

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