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2015年1月

2015年1月 2日 (金)

2014年12月の読書メーター

読んだ本の数:3冊
読んだページ数:1073ページ
ナイス数:128ナイス

最後のトリック (河出文庫)最後のトリック (河出文庫)感想
「読者が犯人」というトリックの仕掛けを知りたい一心で一気に読み切る。理屈的には確かにトリックは成立しているのだが、余りにも特殊なので腑に落ちずやや落胆。超心理的なコミュニケーションが科学的な検証を得て一般の常識になっていれば納得できるのだが。しかし常識になっていれば逆にトリックでも何でもないというジレンマ。トリックのアイディアを売りたい男の手紙と彼の自伝、小説の中の作家が書く新聞の連載小説。そしてこの小説自体。ここには読者が三重に存在する。最後の読者が「犯人」だと勝手に勘違いした自分が落胆の犯人。
読了日:12月30日 著者:深水黎一郎


ナショナリズムの克服 (集英社新書)ナショナリズムの克服 (集英社新書)感想
2002年刊。姜氏の前年の著作『ナショナリズム』の概要と、姜氏・森巣氏の個人的な体験を対談で紹介。民族とは、多数者が国民国家の共同幻想を維持するために、抑圧・収奪している少数者に付けた汚名だとし、民族を超越した「無族協和」を唱える森巣氏の鋭い舌鋒が魅力的。少数派の在日としての内側からの視線と、国際人としての外側からの視線を交錯させることで、多数派の国民には見えない日本のナショナリズムの構図を炙り出す。戦前の国体ナショナリズムの存続も戦後の経済繁栄も、敗戦時の日米談合の結果だという姜氏の指摘には納得。

 姜氏は、戦後日本が日米談合の結果、政治的には米国に隷属する代わりに、経済的な支援を受け、文化的には天皇制の国体を存続させた。これが90年代の政治的なネオ・ナショナリズムに繋がっており、日本のグローバル化の障壁になっているというが、帝国への未練を残し、新自由主義的構造改革の遅れを嘆く点で、時代錯誤を感じる。むしろ森巣氏の「グローバル化で世界に外部が無くなった」、「一億総在日化や難民問題が先鋭化すれば、少数者を外部化して国民国家の共同幻想を維持して行くのは限界」との指摘は慧眼。

読了日:12月22日 著者:森巣博,姜尚中


夜のピクニック (新潮文庫)夜のピクニック (新潮文庫)感想
主人公は高校の同級生の男女。二人は特殊な背景があって口も利かない関係だが、周りの仲間たちに仕掛けられて和解して行く、そのプロセスが、歩行祭という不思議な学校行事のなかで、ゴールに向け夜明けに向けて高まる疲労と心理状態に、巧みに重ねられている。子供が親たちの勝手な行動の犠牲となる理不尽さは、この小説ほどきれいには解決しない気もするが、主人公たちを励ます仲間たちの温かさは羨ましいばかりである。仲間たちも皆個性的だ。殆ど男子校だったから恋多き高校生活は想像もできないが、恋に恋していた青春時代を思い出させる。
読了日:12月10日 著者:恩田陸

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