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2015年4月 1日 (水)

2015年3月の読書メーター

2015年3月の読書メーター
読んだ本の数:5冊
読んだページ数:1143ページ
ナイス数:163ナイス

文藝春秋 2015年 03 月号 [雑誌]文藝春秋 2015年 03 月号 [雑誌]
感想


 池上・佐藤両氏の「新・戦争論」を読んだ後、本誌の「イスラム国=IS」についての特集を読んだ。

 ISは、近代の人権や民主主義を否定し、千四百年前の「教え」の世界に戻すための世界革命を企てている。対話や統治領域の一部承認ではなく、完全に解体しなければいけないという。

 日本によるホルムズ海峡の機雷除去はISとの全面戦争の宣戦布告と同じであり、国内のISシンパによるテロが心配だ、政府・国民にその覚悟や準備はあるのか、と問う。一体どこに覚悟もしないうちに無益な戦争に巻き込まれる必要があるのか、全くの疑問だ。

 別の記事で佐藤氏が、ピケティのいう所得税・相続税・資産税の「三つの累進課税を実施するためには、グローバルな資本に対抗できる強大な国家が必要になる。・・そうなると・・ファシズムやスターリニズムに似た体制が生じかねない。」と批判している。

 また「資本は本質的に自らを再生産する能力があるために、資本主義はそう簡単になくならないという構造を知るために今日でも『資本論』より優れた作品はない。」という指摘に興味をそそられた。
 アベノミクスを巡る賛否両論の記事も面白い。「アベノミクスはまったく心配ない、第三の矢は五年後に効いてくる。」という新浪剛史氏。その真偽は5年後に明らかになるが、むしろ第三の矢への具体的な数々の提言には注目すべき。

 一方、アベノミクスの誤った金融政策により「円安で日本は世界二十七位に転落した。」・・日本はすでに日銀が金融市場を支えており、「政権の意向に極度に支配される『国家資本主義』の統制市場に変質している」という神谷秀樹の指摘も傾聴に値する。
 成長のカギが、『新たな経済価値の創造』であることだけは確かだ。

読了日:3月31日 著者:


 冷戦終結以後も戦争と極端な民族対立の時代は続いており、植民地化や全面戦争を避けつつも当面は続くと予測。資本が新しい投資対象を求め、旧帝国がかつての栄光を求めて領土拡大を図るため、ナショナリズムが噴出するからだという。

 この嫌な時代を生き抜くには歴史や国際情勢の知識によって代理体験をして耐性を身につける必要があると説き、欧州、イスラム国、朝鮮、中国、アメリカの問題に関わる新情報を提供する。特に、アラブの春以降イスラム国までの中東情勢は分かりにくいものがあったが、この本により少し頭の中が整理できた。

 佐藤氏の次の言葉が気になった。「『近代』は超克などできません」。なぜなら、近代の「自由」とは「資本」、「平等」とは力=「国家」、「友愛」とは、資本や国家の矛盾に対し助け合う「エスニシティ」であり、この三つが資本主義システムの中に埋め込まれており、いずれかが強くなると別のものが出てきてそれを抑えるからだという。
 しかし、国家が民族やその敵を語って国民の一体化を図りつつ、一方で資本の言いなりになっている最悪の状況をどう解釈したらよいのだろうか。

 副題の「インテリジェンスの磨き方」については、少ししかページが割かれていないが、池上氏の提供してくれる情報が、ほとんど新聞やネットの公開情報の比較分析推理から見えてくる知見であることに改めて感心させられた。 
 また佐藤氏の「情報は信頼できる人からとれ」についても納得できた。特に、裏付け能力も思考能力も限られた専門家でもない我々一般人にとっては、まずは信用できそうな人の納得できる知見に乗っかるところからスタートするしかないのだから。

読了日:3月23日 著者:池上彰,佐藤優

 母親が不安定・自己愛的・生真面目等の理由で、幼い頃に母親から無条件の愛情をもらえなかった子供は、大きくなっても母親の愛を求めるが、母親と支配・依存・反発・没交渉等の関係しか築けないだけでなく、基本的安心感を育めなかったために自己否定的で自立できず、対人関係にも影響することが多い。
 この病を治療するには、母親と本音でぶつかり合って関係を修復するか、代理の存在から愛をもらうか、代理の存在に愛を注ぐことが必要であるという。この本で紹介されている多くの事例を読むと、この病の根の深さを思い知らされる。

 身内の問題に絡み読んだ著者の「父という病」の後だが、今度は自分自身が「母という病」に罹っていたことを知る。
 嫌悪し距離を置いているのに常に心に重くのしかかる母親の存在。継母故の問題もあり押付けが本当に嫌だったが、ヒステリーを恐れる余り本音が言えず、良い子を演じてきた。

 両親の介護が必要な歳になって初めて、母親の自己中ぶりに本心から噛みつき、修羅場をくぐったことで多少関係が修復し、今なんとか母の介護を続けている。自分の性格に影は残しているが、自己否定的にはならなかったのはまだ軽症だったのかもしれない。

読了日:3月13日 著者:岡田尊司


 児童養護施設「丸光園」を巣立った若者たちと悩み相談を受けているナミヤ雑貨店とを繋ぐ見えない糸が解きほぐされる、時間を超越した不思議な物語。
 時間が止まる雑貨店内や時間を超えた手紙の遣り取りの発想が秀逸。夢か恋人か、夢か稼業か、不倫の妊娠、親の夜逃げ、女性の職業を巡る悩みは、それ自体がドラマを含んでいるが、それにどう助言するか、相談者はそれをどう活かすのか、興味津々で一気に読ませる。

 登場人物の相互の繋がりが、最後の章で一気に明かされ、読者は謎解きの爽快感を味わう。精緻に計算された物語の構成の見事さに脱帽。

 3人の若者がつくる回答は、アドバンテージがあるからにせよ、ダメなはずの3人にしては出来すぎていてやや不自然な感じは否めない。
 悩み相談に自分だったらどう回答するか、考えただけで頭が痛くなるが、店主の回答はどれも見事で読む者を唸らせる。特に、白紙という難問の相談への回答がいい。

 「白紙なのだから、どんな地図だって描けます。すべてがあなた次第なのです。何もかもが自由で、可能性は無限に広がっています。」
 
読了日:3月9日 著者:東野圭吾


太極拳の聖典と言われる「太極拳経」には、大変重要な武術の原理や方法が書かれているが、極めて短く簡潔なため正確に理解することは難しい。楊名時太極拳の後継者である著者が、これを分かり易く解説している。

 力が劣っていても勝てるのは、相手の攻撃力より弱い力で対応して相手の姿勢を崩してから反撃するからであり、そのためには自分はいつでも安定して動ける状態を保ち、相手の変化を察知して、力をコントロールしながら動く、ということに尽きる。
 健康にとっての正しい動きも、その原理に沿った身体の運用であることを教えられた。

 「前に出した脚は降ろしてはいけない」ということを初めて知った。「軸足の沈み込みで、前に出した脚が床に着くように動作する」ことが、太極拳のコツだそうだ。
 いかなる動きのなかでも、常に重心が安定した姿勢を維持するためだ。「姿勢の正否は、重力の存在により足裏の感覚で分かる。」この言葉を常に意識しようと思う。

 

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