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2015年6月

2015年6月 4日 (木)

2015年5月の読書メーター

読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1177ページ
ナイス数:109ナイス

希望の資本論 ― 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか
池上彰×佐藤優


 
 ― 私たちは資本主義の限界にどう向き合うか

 社会主義という対抗思想を失って資本主義が再び暴走し始めた
 
いま、人間性の回復を求める流れの中でピケティ・ブームが起こった。しかしピケ

ティは賃金を分配論でとらえ生産論の論理を欠いており、そこにマルクスの「資

本論」の重要性があると佐藤氏は言う。
 
 資本主義の限界を知ることで、資本主義に絡めとられない自分を持つこと、さ

らにこうした難解な著作を読むことで政治家やマスコミに騙されない論理力を身

に着けることが重要だと説く。

 佐藤氏の『いま生きる「資本論」』の宣伝本の感があるが、二人の膨大な知識

から得るものは大きい。 


 「イスラム国」とコミンテルンの共通点、イスラエルはマルクス主義の落とし子と

いったテーマも興味深かったが、一番気になったのは、講座派と労農派の思考

の鋳型について。

 どうも自分は、日本の論壇の圧倒的多数を占める講座派的な考え方の影響を

受けているようだ。対米従属論や日本特殊論がそれだが、二人はこれと対立す

る労農派的な考え方のようだ。
 
 明治維新は市民革命であり、基本的に世界資本主義システムは普遍だとする

労農派からすれば、資本主義はグローバリゼーションから新・帝国主義の時代

に入っている。確かにアメリカもロシアも中国もそんな動きをしている。もっと大き

な視野で世界の現実を冷静に見る必要があると感じた。

 
 「労農派の人たちから見て講座派の何が問題に見えるかというと、確かにアメ

カの圧力といったものはあるのだろうが、時に日本の経営陣や日本の政府は

メリカからの圧力をかけさせるというやり方で、自分たちのやりたいことをやっ

いるではないか、持ちつ持たれつだ」という佐藤氏。
 
 対米従属の振りをして、国民を騙し収奪しているだけなのか。一体国民はどう

すればよいのか、見えて来ない。

読了日:5月31日


 島原の乱を起こし戦った有家村の若者寿安と庄屋の甚右衛門

を中心に、弾圧・飢餓・病気・戦など、死と隣り合わせの状況下で

の人間の生き方を描いている。
 
 追い詰められれば命を懸けて戦うが、感情に流され暴走したり、飢えに負け裏

切ったりもするのが人間だ。そんな中で最後まで、我欲を捨てて己を律して苦し

む人々のために尽くす主人公たちの、信念を貫く生き方に引き込まれる。
 
 それを支えるのが宗教の力ではあるが、「決して抗うな、耐えよ」という教えと

「これは主なる神のご意思による聖なる戦である」の思いとの間の溝は深く理解

を超える。


 神の下での人間の平等を信じるものにとって、支配層の我欲や虚栄心に都合

よく拵え上げた秩序世界、嘘や理不尽ばかりが平然とまかり通る現実世界で生

きることは、苦痛と怒り以外の何ものでもないが、それに異を唱え命を懸けて戦

うのが当初の寿安のような殉教者。
 
 だが、多くの人々の命を守るために、衝突や騒乱を避けつつ苦労して泥臭く駆

け引きする甚右衛門の当初の生き方の方が好きだ。虐げられる側もまた強い人

間ばかりではないからだ。蜂起と戦の進展に伴い、二人の生き方が入れ替わっ

てゆくことで、著者は自分の考えを表している。

 「死こそが実は永遠の本源であり、生は一瞬のまばゆい流れ星のようなものに

思われた。その光芒がいかにはかなくとも、限りなくいとおしいものに思えた」と

う寿安の想いが、なぜか心に響く。
 
 本書を紹介してくれた読友さんに感謝。

読了日:5月24日


 食と健康の関係について相反する諸説が氾濫し、素人は混乱

するばかり。牛乳、ご飯、野菜、塩分、卵・・・。それらに対する著

者の判定は、数値的には曖昧だがある意味明快。
 
 「いま自分が心から食べたいもの、食べるのが楽しみで仕方がないもの、それ

こそがあなたにとって最良の食べ物」。長生きに価値があるのは喜びがあってこ

そと言い、ホリスティック的食養生を提唱。メタボ含め諸説が提示する数値はか

なり不可解だから余り囚われず、体の要求に従えば良いが、食べ過だけは要注

意、たまに負荷をかけるのも必要で前後で調整すれば良いと。
 
 「人間の本質ともいえる「いのち」のエネルギーを日々高め続けることで、から

だを超越した部分での、真の”健康”を目指す」のが、ホリスティック的食養生だ

という。
 

 「健康というものは、からだの故障があってなお、それを凌駕するほどの『いの

ち』の煮えたぎる状態を指すのだと痛感します。」という著者の言葉が、人間にと

って最も大切ななものは何かを教えてくれる。

読了日:5月10日





 著者はベトナムからフランスに亡命した禅僧。この本は仏教に

対するイメージを変えてくれる。
 
 死や苦への怖れから自由になることで、死後のためではなく今を幸福に生きる

ための理論と修行方法を述べている。瞑想し対象を深く観ることで真理に目覚

るが、それにより誰もがブッダになれるし、慈悲の心をもつことで誰でも菩薩に

なれると説く。無常、無我、相依相関、涅槃などを例え話を使って分かり易く解

説。

 目覚めは観念を排除した直接体験だから、頭での理解には限界があるが、

そこから展開する生きる智慧は奥深く感動的ですらある。


 「自然も人間もすべては時空を超えて繋がり相互依存する存在である。

雨が雲の連続であるように、私は先祖や子孫とだけではなく他の人々とも繋が

っている。戦争、抑圧、不正といった極限の苦しみにとらわれた人々を自分の中

に観、自分の姿を苦しむ人々の中に観る。

 地獄には菩薩が必要だ。菩薩は慈愛と思いやりのある行動の腕で世界を抱き

しめる力を持つ。菩薩の心が顕現するような生き方をともに目指していこう。」

と説き、実際に88歳の現在も、布教活動とともに世界的な平和活動を行っている

と知り、その行動力に感銘を受けた。

読了日:5月7日

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