« 2015年5月の読書メーター | トップページ | 2015年7月の読書メーター »

2015年7月 3日 (金)

2015年6月の読書メーター

読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1018ページ
ナイス数:137ナイス

超マクロ展望 世界経済の真実 (集英社新書)■ 
水野和夫×萱野稔人超マクロ展望 世界経済の真実」

                             (集英社新書)

 日本経済の現況を理解する上で、実に有益で刺激的な本だった。「資本主義の終焉」を説く水野氏と、「資本主義の本質は略奪」と説く萱野氏の対談。

 資本主義は、覇権国を中心とした先進国が、軍事力を背景に有利な交易条件を確立し続けることで成立してきたが、新興国の台頭等により資源価格が高騰し、先進国は実物経済では儲けられずデフレ・低成長を余儀なくされた、というのが大きな流れ。

 さらに、なぜ世界は急に金融経済化したのか、イラク戦争の真の理由は何か、日本のバブルはなぜ冷戦終結と共に崩壊したのか等の疑問に応えてくれる。

 金融経済化は、実物経済が衰退した覇権国アメリカの悪あがきであり、イラク戦争の真の理由はドル基軸通貨体制防衛であり、日本のバブルは対ソ連の日米連合の資金繰りのためという、今まで知らなかった驚きの見方が開示されているが、非常に説得力がある。

 また世界に先駆けてバブル崩壊から資本主義の転換を先行経験している日本は、新たな制度設計をすべきであり、そのためにも財政赤字を早急に解消すべきだというのだが、国内銀行が国債を消化できなくなる時が近づく一方、リフレ派の政策は財政赤字を拡大するだけだという指摘に、怖れを感じた。
 
読了日:6月29日
1996年刊。著者は太極拳を日本に広めた功労者。なぜ太極拳が健康長寿に良いのかを、初心者向けに分かり易く説明。

 病気の原因の8割は心から生じるが、太極拳は心を平安に導きかつ体調を整えるので良いという。

 長息で、副交感神経の優位・筋肉リラックス・心拍数減少・消化器系臓器の働きの活発化により免疫能が上がると同時に、呼吸に合わせたゆっくりとした動きで、伸張性収縮により筋力を強化する。

 また健康は自分でつくるものであり継続が大切だが、健康を願う仲間との出会い・絆もまた喜びであり健康即幸福の善循環を生むと説く。

 著者は、私が学んでいる太極拳の師家であり、著者の本は何冊も読んでいるので、特に新しい発見はなかったが、普段、技の習得や身体への健康効果に目が行きがちな私にとっては、健康にとっての心の重要性を再認識させる本であった。
読了日:6月23日
                          (講談社文庫)
 
 子どもの頃の楽しい毎夏のキャンプの記憶を共有する7人が大人になり、何の集まりだったのか、何故突然中断されたのかを知ろうとし始める。
 
 7人はそれぞれ両親・親子・夫婦・男女関係の悩みと向き合っている。悩みに絡むその秘密と7人の対応が徐々に明かされる、その設定も展開もリアルで、読者の心を捉えて離さない。

 <血>の重さがテーマなのだが、家族を支えるのは血ではなく、新たな関係を築くという決意だと、作者は言いたいのだろう。

 一番不幸な境遇にあってそれをすべてそのせいにしてきた紗有美が、目覚めて動き出す最後は感動的。

 紗有美の心を動かしたのは、正反対の性格を持ったの「物事が上手く行かないのは、上手く行かないだろう理由を見つけて動かないからだ」と言う考え方だが、波留が積極的で強いのは、母親譲り。

 それが<血>なのか<教育>なのかはよく分からないが、人間は育て方で大きく変わることも事実。彼らの悩みや不遇の原因は、育った環境・親の性格によるものが大きいと思う。

 実際、自分自身が抱えていた問題も、<血>ではなく、<親の性格>の問題だったと改めて気付かされた。それにしても、父親の影のなんと薄いことか。この小説でも際立っている。

読了日:6月21日
                   (角川文庫)


 H15年刊。斉藤先生の余技かと思ったが、「教育の基盤は息にある」という信念に基づく20年以上の研究成果による労作だった。

 現代人が、感情をコントロールできず、集中力も粘りもなくなっている一因は、日本の息の文化が戦後廃れたからだと言う。長くゆるく吐くことが、リラックスした体の構えを作り、心をコントロールするのだ。

 教育の役割は、知識を教えることよりも、学ぶ構えを教えることではないかと考え、誰にでも簡単にできる齋藤式呼吸法を開発し現場で実践している。

 呼吸がいかに深く精神状態と繋がっているかを改めて教えられた。 健康のために気功・太極拳を学んでいる私にとっては、既知の内容は多かったものの、呼吸法が単に健康のためだけでなく、学習や文化全般、ひいては人間の生き方そのものに深く関わることを教えてもらった。

 特に、教育の現場で呼吸法が生かされていることに感動した。先日テレビで観たのだが、大声で四字熟語を叫ぶ「はなまる学習法」にも共通するものを感じた。
著者が最後の方で、中井正一の言葉を借りながらまとめている文章が印象に残った。
「一つの呼吸をつかむこと、それ自体に深い甘美な人生の喜びがある・・・。そして、動作と呼吸が合った時、他者と呼吸があった時、世界そのものと呼吸が同期した時、その呼吸がぴったり合った瞬間こそ悦楽なのだ・・・。」
読了日:6月16日 著者:

« 2015年5月の読書メーター | トップページ | 2015年7月の読書メーター »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/574388/61830834

この記事へのトラックバック一覧です: 2015年6月の読書メーター:

« 2015年5月の読書メーター | トップページ | 2015年7月の読書メーター »

お薦め本

  • 鈴木亘: 「財政危機と社会保障」
  • 波頭亮: 「成熟日本への進路」
  • 中野剛志: TPP亡国論
  • 増田悦佐: 日本と世界を揺り動かす物凄いこと
  • 古賀茂明: 日本中枢の崩壊

お薦めサイト

フォト
2016年12月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31

最近のトラックバック

無料ブログはココログ