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2015年8月

2015年8月 4日 (火)

2015年7月の読書メーター

読んだ本の数:4冊
読んだページ数:1034ページ
ナイス数:184ナイス


「ドイツ帝国」が世界を破滅させる 日本人への警告 (文春新書)

エマニュエル・トッド
   「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる 日本人への警告
                             (文春新書)

 フランスの歴史家・人類学者・人口学者トッド氏のEUに関するインタビュー発言集。

 ヨーロッパはいまや「ドイツ帝国」の支配下にあり、唯一対抗できるはずのフランスも進んでドイツに隷属したという。

 そして中国でもロシアでもなく、ドイツがこの20年間にアメリカ帝国と衝突すると予言。産業規模の逆転や価値観の対立(規律vs自由)がその背景だが、ドイツは支配権を持つと他国に服従を迫ること、ドイツを支配するのはメルケルではなくドイツ経済界であることも指摘。

 世界中の国家は今日、一般意志の体現者ではなく、金融資本を握る超富裕層が支配する寡頭政治の国家である。新自由主義の正体は、銀行による国家のコントロールであり、政府債務は民間金融機関の発明、政府債務は返済されない(紙幣増刷かデフォルト)との指摘は鋭い。

 但し、寡頭支配は国毎に異なる形で行われており、支配者間の序列はあるもののグローバルな支配ではないという。危機に陥った新自由主義のシステムへの対応は、各国民なりのやり方で、元々の文化に立ち返ることだとしているが、さて、立ち返るべき日本の文化とは何か。

 ドイツと日本の類似性と違いにも触れている。

 権威主義的家族構造や強い産業力、貿易黒字などの類似性に対し、違いとして、「日本の文化が、他人を傷つけないようにする、遠慮するという願望に憑りつかれているのに対し、ドイツ文化はむき出しの率直さを価値づけます。」、「日本では権威がより分散的で、常に垂直的であるとは限らず、より慇懃でもあります。」と指摘しているのだが、余りピンと来ない。

 むしろ「ヨーロッパにおけるドイツと同様に東アジアにおいて『帝国』を志向しているのは、中国であって日本ではない」と言う指摘に納得。
 
  歴史・文化・経済・人口の分析に基づく大胆な発言はかなり刺激的だったが、
本人は否定しているものの、「ドイツ嫌い」の感情が溢れている気がした。

読了日:7月30日



 第149回直木賞受賞作。
7つの短編が、一つのラブホテルの誕生から廃墟になるまでを逆に辿りつつ、そこを舞台に性を巡る様々な人生模様を描く。

 若いカップル、熟年夫婦、老年夫婦の他、寺の奥方と檀家、女子学生と先生など、少々変わった組合せも登場。当然、性描写もあるが、さらりとした表現できれいにかわす。

 それぞれに翳りのある男女の心が、繋がりそうで繋がらない寂しさと諦念がどこか漂う。だが同時に著者の温かい視線を感じてホッともさせるのだ。特に、『エッチ屋』とホテル管理人との純情でぎこちない関係には、思わずニヤリ。

 登場人物たちの中で、一番苦労しているホテルの掃除婦ミコの言葉にも救われる。

  ”人と人はいっときこじれても、いつか必ず解れてゆくものだと、死んだ母に
   教わった。”

  ”『いいかミコ、なにがあっても働け。一生懸命に体動かしてる人間には、
   誰もなにも言わねぇもんだ。聞きたくねえことには耳をふさげ。働いて
   いればよく眠れるし、朝になりゃみんな忘れてる。』 母ちゃんの言う
   とおりだ。”
 
読了日:7月20日



「熱狂なき株高」で踊らされる日本: 金と現金以外は信用するな!
副島隆彦
 2万円越えの株高は、安倍政権の株価吊上げ操作による捏造だと批判。

 GPIF(旧年福)、3共済、かんぽ生命、ゆうちょ銀行、日銀の公的資金を使った株式爆買いによる株高だという。

 27兆円の手持ち資金が尽きる2年後に資産バブルがはじけ、年金や貯金の損失のツケが国民に回る。しかもこの株価操作は同じ問題の先を行く米国との談合らしい。

 やはり米国の指示で日本国債の2割強を買わされた日銀。黒田総裁が認めたように、バーゼル委でリスク資産とみなされると国債も暴落の危機に陥る。

 ドル防衛のため金価格の不正取引を行う米国。世界最大の金保有国となった中国が英国と組んで金の値決めに参加することが決まり、ドイツも米国に預けていた金塊の回収に動いた。

 米国の覇権はいよいよ揺らぎだした。AIIBもその表れ。

 最大保有国の中国が米国債を売り始め、慌てた米国は不足分36兆円を日本から吸い上げようとしており、今後日本は益々衰退する。
 
 米国は日本の企業制度改革によって、日本企業の内部留保374兆円で自社株を買わせ株価を吊り上げようとしているという。

 安倍政権の日本はまるで米国占領下に戻ったかのようだ。

 株や土地を無理やり吊上げ、経済成長を作り出そうとするインフレ目標政策が間違っていたことが今や明らかになった。その根拠であるアメリカ経済学も破綻した。

 アメリカ帝国が世界を支配するための道具となった堕落した経済学を、ピケティが掘り崩そうとしていると評価し、著者は、消費的需要を作り出し雇用を確保することを重視したケインズに戻るべきだと主張する。

 最終章ではピケティの資本主義の第一基本法則α=γ×βに触れ、自分が発見したアパート経営の法則が証明されたと絶賛しているが、我田引水の感。
 怖ろしい事実がデータと共に示されていて大変勉強になった。

読了日:7月16日


 著者は元建設省河川局長を務めた土木の専門家。

 日本の都市にまつわる歴史の疑問点を、地形・気象・インフラなどの視点から読み解いているのだが、これが実にユニークで面白い。

 例えば「天皇陛下が裏門のような半蔵門から外出された」所を見て疑問を抱き、とことん調べ上げて、それが皇居の正門であったことを突き止める。それが次の謎を生み、最後は「忠臣蔵が徳川幕府の復讐劇」であった事まで明らかにするといった具合。

 まるでミステリーを読むような感じ。いい疑問は幅広い知識から生まれる事、調べることの面白さを教えてくれる。

 知らなかった歴史をたくさん教えられた。とりわけ治水の重要性。

 単に洪水対策だけではなく、湿地帯の多かった日本で、乾いた土地を作ること確保することが、権力者にとっていかに重要であり、技術者にとっていかに大変だったかを知った。

 また戦後の昭和まで、胸まで浸かって田植えをしている地域が複数残っていたことに衝撃を受けた。

読了日:7月4日

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