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2015年11月 8日 (日)

2015年10月の読書メーター

読んだ本の数:4冊
読んだページ数:839ページ
ナイス数:203ナイス


          
欧米に寝たきり老人はいない - 自分で決める人生最後の医療
 宮本顕二・宮本礼子

 「
欧米に寝たきり老人はいない
          ――自分で決める人生最後の医療」


  本書は、共に医師である夫妻が、スウェーデン訪問がきっかけで日本の終末期医療の遅れに気づき、欧米豪6か国の実態を調査し比較考察したもの。

  「苦しむことなく安らかに死にたい」と思っても、日本では、社会や医師やマスコミの理解、医療制度、法制化等の遅れにより、それが容易ではないらしい。本人が望まなくてもすぐに苦痛の元となる延命措置が採られるからだ。

  欧米豪では、食べられるだけ飲めるだけにして自然死を迎えることが、常識になっているから、寝たきり老人はいない。

  日本も変わるようにより多くの人に読んでもらいたいと思う。

  今の日本で少しでも安らかに死にたいと思ったら、延命しない希望を家族および往診してくれるかかりつけの医者に伝えて文書にしておくことが必要なようだ。

  決して救急車を呼んではいけない。病院に担ぎ込まれると、必ず延命措置が採られるからだ。

  超高齢化社会で医療技術も進んでいる日本なのに、あまりにも悲しい現実。「点滴して生きている人生に何の意味があるのか?」という問いかけに、日本の社会全体が真剣に考えるべきだと思う。

  老老介護をしている私にとっては、本当に切実な問題。

読了日:10月31日




流

■ 
東山彰良 「  」


  主人公である台湾人青年が、過去の生活を時にはシリアスに、時にはユーモラスに語るのだが、彼の生活は祖父殺しの犯人捜しを中心に回っている。

  舞台は台湾から日本そして中国へとダイナミックに移動する。台湾人の生活描写もどこか懐かしい匂いがするし、犯人捜しのミステリーもスリリングで面白い。

  彼の祖父が生き抜いた抗日戦争や共産党との内戦の厳しい時代が、いかに台湾人の生活に大きな影を落としているかがよく分かった。

  戦争に駆り出された庶民にとっては、支配者は誰でもよく、生き残ることの方が重要だったことを痛感させる。

   小説の中に出て来る詩が印象的だ。
 「魚が言いました。わたしは水の中で暮らしているのだから、あなたにはわたしの涙が見えません」。

  ここでいう”水”とは何だろう。何にしても水の中に入り暮らしをともにしなければ、決して見えてこないものがあるということだろう。

  なぜか「日本人には台湾人の涙は見えません」と言われたような気がした。

  満場一致で選考された第153回直木賞受賞作。

読了日:10月21日




野火 (新潮文庫) 大岡昇平 「 野火 」

  米軍の攻撃を受けたレイテ島で、肺病のため厄介者として隊からも病院からも放り出された田村一等兵が、一人野山を彷徨い、敵への恐怖と飢えの苦しみで、精神も感覚も異常をきたしていく様子が克明に描かれ、戦争の恐ろしさを痛感させられる。

  生きるか死ぬかの極限状況では、味方すら敵になり、人間としての尊厳も捨てざるを得ない。

  生きるために本能に従って動こうとする右手とそれを無意識に止めようとする左手が、精神の分裂を示す。田村は左手の動きに神を感じるのだが、果たして自分の左手は動くのか。

  人間が生きる意味とは何かを問う。

  1954年刊行の小説だが、田村の次の言葉は、現在の状況においてもまったくその意味を失っていない。

  「現代の戦争を操る少数の紳士諸君は、それが利益なのだから別として、再び彼等に騙されたいらしい人たちを私は理解出来ない。恐らく彼等は私が比島の山中で遇ったような目に遇うほかはあるまい。その時彼等は思い知るであろう。戦争を知らない人間は、半分は子供である。」

読了日:10月5日




世界から戦争がなくならない本当の理由■ 上彰 世界から戦争がなくならない本当の理由」 


  戦後70年、世界では絶えず戦争が行われ続けてきた。本書は、戦後の戦争の概要と経緯を簡潔にまとめ、「戦争がなくならない本当の理由」のヒントを提示。

  知らなかったことも多く大変勉強になった。

  東西冷戦の影響、植民地の傷跡、独立後の分割や内戦の代理戦争化など、大国のエゴが目立つ。

  ”本当に怖いのは国民の熱狂”であり、民主主義のその怖さを学び反省したドイツと、責任追及を他人任せにして反省しない日本との違いは大きい。

  歴史に学ばないと「過ち」を繰り返すと強調するが、「本当の理由」は明確に語らず読者に考えるよう促す。

  戦争が戦争を生む負の連鎖をいかに断ち切るか、その答えは容易ではない。

  戦争を防ぐ仕組みである国連が、拒否権を持つ大国の対立のため紛争解決の手段として機能していない。

  この70年間に起きた軍事衝突に深く関わってきたのは、イデオロギーで対立した米ソであり、冷戦終結後の今も欧米と露の大国が自国の利益のために、他国の民族紛争に介入して代理戦争を行っている。

  自国の利益という大義さえも、実は支配層の利益なのに国民は容易に洗脳されてしまう。

  戦争を止めるのはやはり、犠牲を強いられる国民が真実を知り声をあげる事だろう。
  「日本には加害者でありながら被害者でもあるという二面性がある」ことが反省を曖昧なものにしたと池上氏は言う。

  未だに日本は属国のようにアメリカの世界戦略に組み込まれ支配されている。加害者としての反省を真摯に行い、生まれ変わったことを世界に認めてもらうことで真の独立を果たさない限り、日本は加害者としてのアメリカを告発することはできないと思う。

読了日:10月2日

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