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2016年4月

2016年4月23日 (土)

2016年3月の読書メーター

読んだ本の数:5冊
読んだページ数:821ページ
ナイス数:204ナイス

稼ぐ「デザイン力!」―経営者・管理職のためのデザイン戦略入門
■ 大口二郎 
   『稼ぐ「デザイン力!」
         ―経営者・管理職のためのデザイン戦略入門



 経営者・管理職のためのデザイン戦略入門書。経営者がデザインに関わる上で疑問に感じるであろうことを、35のQ&A、i-phone/Wii/Cube/Prius等の商品事例、8企業の戦略事例で説明している。

 分かりやすいデザイン論にもなっているので、企画者や設計者の新人教育に役立ちそうだ。

 書名は露骨だが、デザインは売上に繋がるという事。

 ”デザインとは外見ではなく中身の表現”であり、商品コンセプトや企業価値を形にしたものであるという主張は頷ける。

 ただ商品企画を重視する分、デザイナーにはやや物足りない内容。


読了日:3月25日



世界のエリートが学んでいる教養としての日本哲学 
小川仁志
   「
世界のエリートが学んでいる教養としての日本哲学


 著者によれば、世界のエリートたちにとって日本の強さや魅力の根底にある日本独自の思考法=日本哲学が重要な教養となっているという。
 
 本書は日本哲学のエッセンスを、歴史・思考法・名著・必須人物・必須用語に分けてまとめた入門書。神道・仏教から現代思想まで、聖徳太子から吉本隆明までと実に幅広く取り上げており、今まで断片的にしか知らなかった思
想や人物の位置づけがよく分かった。

 特に思考法については「なる/従う/結ぶ/無になる/清める等、20項目に整理されており理解しやすい。

 やや安直だが、後は自分で原典に当たる他ない。

 著者は、より普遍的な西洋哲学を踏まえたうえで、対照的な発想をする日本哲学の知識を習得して然るべき時に発揮しようと言う。

 哲学をビジネスや政治に活用しようという姿勢には若干違和感があるが、あらゆる活動が思考に基づいて行われている以上、何らかの哲学に基づいているわけだから、「使える哲学」の発想は案外正解かも知れない。

 日本哲学というと、ナショナリズムや天皇制との関係が色濃い気がして遠ざけていたが、西洋合理主義の限界が明らかな現在、日本哲学を学びたいと思った。本書を案内に、興味のある所から原典に当たりたい。

読了日:3月20日


文藝春秋 2016年 03 月号 [雑誌]■ 文藝春秋 2016年 03 月号

■ 芥川賞関連以外の気になった記事。
  信頼できるリーダーの不在。

◆半藤一利×佐藤優「『新しい戦争』と日本軍の教訓」:

 ラインが軽視され、参謀が暴走して悲劇を生んだ陸軍の組織。その無責任体制と無反省気質、すぐ成果を求める短兵急な発想、中枢を仲間内で固める排他性などは、今の日本の組織にも残る。

◆エマニュエル・トッド「世界の敵はイスラム恐怖症だ」:


 フランスのエリートは宗教消滅による精神的空白を、お金と反イスラムで埋めようとしている。欧米が生みだしたIS。その戦士の多くは差別されたイスラム系の若者たちという悪循環。


■特集「88人の『最後の言葉』」は身につまされる。

◆竹田圭吾氏; 「いつ死んでもおかしくないから・・人生の残りの時間を逆に気にしなくなった。・・こだわらなくなったから、・・気が楽になった」。だが、「死に対する恐怖からは完全に逃れられない」と本音も。

◆「あなた一人を数ふ」と辞世を歌った河野裕子さんが永田和宏の奥さんだと知った。

◆戸塚洋二氏が紹介している正岡子規の言葉

 「(自分は悟りをこれまで誤解していたが)悟りといふ事は如何なる場合にも平気で死ぬる事かと思って居たのは間違ひで、悟りといふ事は如何なる場合にも平気で生きて居る事であった」

読了日:3月17日


死んでいない者
■ 滝口悠生 「んでいない者


 第154回芥川賞受賞作。 お通夜に集まった親族・関係者の様子を第三者的に描いた小説。

 登場人物が多く誰が誰だか良く分からないため、なかなか入り込めないが、関係や複雑な事情が分かってくると、多彩な人間模様に興味が湧く。

 ただ主人公がおらず並列的に語られて終わるため、テーマが分かり難
い。

 様々な日常を抱えた人たちが、故人との繋がりという一点で非日常的に集まることの面白さ、不思議さだろうか。

 実際、孫たちにとっては、祖父の死よりもいとこ達との再会の方が重い。

 故人を感傷的に偲んでいるのは幼馴染一人なのが切ない。

 
「自在に流動する語り手の視点の曖昧さ」がこの作品の形式的特徴。

 選考会では村上龍が「緻密さが不足」を指摘したが、他の委員は逆にそこを評価。


 確かに視点の曖昧さは感じたがすぐに慣れた。むしろ多くの登場人物が並列され、何が言いたいのか良く分からないことに苛立ちを覚えた。

 宮本輝は「その淡々とした営みの中に人間というもののけなげさをさりげなく描いている」と言い、小川洋子は「記憶していることより、忘れてしまったことの方がより鮮明な重みを持つ。そのことの不思議さを滝口さんは描ける人なのだ。」と評価。参考になった。

 私事だが、父の三回忌のために田舎に帰り、一年ぶりに親戚に再会した。

 法要の後のお斎の席でも父の思い出が語られることはなく、「死んでいない者」の近況報告や世間話ばかり。「死んだ者」は忘れられていく。

 「死んでいない者」は慌ただしい日常を生きていかなければならないから、それは仕方がないことだ。

 ただ、普段は忘れていても死者の記憶は意識の底に沈んでいるだけで、無くなった訳ではない。

読了日:3月11日


京大医学部で教える合理的思考 (日経ビジネス人文庫)
■ 中山健夫 京大医学部で教える合理的思考


 間違った判断をすれば命に係る医療現場で必須の合理的思考の技術を解説した教科書が原本。

 勘や経験やイメージではなく根拠に基づき、根拠は数字や実証的なもので、因果と相関を混同せずに、損と得は一緒に考える等々。

 医療法の採用判断等の具体的実践的な事例を使って解説しているので、とても分かりやすい。

 判断の材料となる正しい情報の見極め方についても多く触れており、専門家ではない一般の人が、どの情報を信用すべきかの判断にも役立つ。

 特に数字のマジックには騙されないよう注意が必要。世に溢れる情報の騙し技術の解説本にもなっている。


 必要かつ信頼できる情報がなくても、人は意思決定し行動しなければならないが、情報発信者には、騙すために流す人もいれば、意図せずに誤解しやすい情報を流す人もいるから要注意。

 情報のイメージに惑わされると判断を誤る。人は自分に都合のよい情報を信じる傾向があるので、流す方も受ける方も情報にバイアスがかかる。

 良い事あるいは悪い事しか言わない情報の背後には利害関係がある。

 数字のトリックがイメージ操作に使われる。

 メディアの情報は規制・抑制により編集・加工されている。カギは比較による偏りの除去。気をつけたい。

 
読了日:3月4日

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