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2013年1月30日 (水)

安倍首相の「所信表明演説」を読む

■ 28日、安倍首相の「所信表明演説」があり、今日それを新聞で読んだ。
日本の危機的な現状を正したいとして、4つの危機を取り上げ、その対策を重点政策としている。その危機とは、日本経済の危機、震災復興の危機、外交・安全保障の危機、教育の危機である。

 経済再生については、司令塔としての日本経済再生本部を設置し、経済財政諮問会議を再起動させ、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」で推し進める、としている。いわゆるアベノミクスだ。
 金融政策は、すでに行われている日銀における2%の物価安定目標の実行、財政出動は、3つの重点分野、「復興・防災対策」「成長による富の創出」「暮らしの安心・地域活性化」。そして成長戦略として、イノベーションと制度改革を上げている。
 震災復興については、行政の縦割りを排し、復興庁がワンストップで要望を吸い上げ、現場主義を貫くとしている。

 外交・安全保障については、緊密な日米同盟の復活、ASEAN諸国との関係強化、国境離島の適切な振興・管理、警戒警備の強化、拉致問題の解決を上げている。

 最後に、国民に自らへの誇りと自信を取り戻そう、自らの力で「強い日本」を創ろうと呼び掛けている。

■ 復興庁の話以外は、想定範囲内で新鮮味はないし、総論だから目くじらを立てるような問題は見えてこない。財政規律も意識します、沖縄の負担軽減に全力で取り組みますとちゃんと入れている。しかし具体策は難しいから簡単には言えない。新聞も参院選を意識しての安全運転と評している。野党が批判するように、もめそうな問題に触れないところが問題なのかもしれない。憲法改正やTPP、原発・エネルギー問題には触れていない。議員定数是正問題や公務員制度改革にも触れていない。具体策やその他の諸問題についてはこれからだ。

 経済再生については、政策効果があったのかどうかの結果が出るので、逆に政策リスクが出ていないかよく監視する必要がある。金融緩和で日銀が国債を大量に購入することは、政府債務が膨らむことだが、失敗すれば国債利回りが急騰し、財政危機はさらに深刻化する。これまでの小出し?の金融緩和では、民間投資拡大にはつながらず、銀行の国債残高が増えただけだった。現在、円安・株高の効果が出ているのは、安倍首相のコミットメントの強さによる投資家の期待の強さの表れで、まだどうなるかわからない。

 景気を刺激するカンフル剤としての財政出動は、建設業界へのバラマキに終わる可能性も高い。成長分野における既得権益層の抵抗を抑え、いかに規制改革し、また企業によるイノベーションを支援できるかに懸っている。首相は、財務省の影響力を抑えるため「経済財政諮問会議」には経産省の官僚を配置したそうだが、復興・防災工事の中にムダな公共工事が紛れ込む危険が高いと、岸博幸氏が指摘していた。これもよくウォッチする必要がある。

 企業の投資は、消費者の購買意欲が上向かないと拡大しない。賃上げ企業への法人税減税や孫への教育資金譲渡への免税などの具体策が出ているようだが、これは是非やるべきだ。ただ企業としては景気が良くなってからでないと賃上げできないないだろうから、効果が出るか疑問である。

 経済成長には、投資だけではだめで、労働人口の増加と生産性の向上が必要だが、日本では労働人口の増加は望めない。生産性の向上には、技術開発、イノベーションが欠かせない。アベノミクスの成長戦略はここにどう取り組むのか。

 震災復興については、復興庁が結果を出すことに期待したい。官僚たちは省庁の壁を乗り越えられるだろうか。これも結果が明確に分かるので注視したい。

 外交・安全保障についても、かなりの困難が待ち受けている。日米同盟の強化は、沖縄問題を難しくする。領土問題も、強気に出るとこじれて戦争になりかねない。安倍首相は民主党による日米関係の弱体化が、中国や韓国の強気を引き出したと言う。日本はアメリカの子分でないと舐められると言うのだ。しかし、アメリカは戦争を輸出する国になってしまったから、子分でいるといつか戦争に駆り出される怖さがある。自民党の憲法改正案は、アメリカと一緒に戦争に出かけるためのものであり、アメリカの要求である。いろいろ抵抗しても最終的には日本はアメリカの要求を断れない。情けないことだが。

 アメリカは日本を子分にしてやっている位にしか思っていないから、自分の都合のいいように日本を利用する。日本人の稼いだ金で米国債を買わせては、ドル安で紙くずにしてきた。円安に対してもいずれストップをかけて来るだろう。TPPはアメリカの輸出市場として日本を解放させようと言うものだ。安倍首相はどこまでTPPを拒否できるのか、要注意である。

2012年7月19日 (木)

若者に冷たい日本の大人たち

 今日の日経新聞の経済教室で鈴木亘氏が、「一体改革残された課題」で民主・自民・公明の3党による修正合意で衆院を通過した年金制度改革について、「抜本的改革の先送りとバラマキの拡大」だと批判している。そして、2つの提案をしている。

①年金清算事業団を創設して年金債務を切り離すこと
②新型相続税や追加所得税導入し債務処理をすること

 年金積立金は、70年代自民党の大盤振る舞い以降不足し始め、2028年には枯渇すると言われている。賦課方式のため、現在の高齢者世代は、過去に支払った保険料をはるかに上回る年金を受け取っており、しかも少子高齢化で高齢者が増える一方、若者世代が減っているからである。若者世代や将来世代は「支払損」を被るので、国民年金未納率は41%と増える一方であるという。

 一時も早く、積立方式に戻すべきだが、一旦債務を年金清算事業団に移して、年金を健全化し、事業団の債務は、保険料の値上げではなく消費税引き上げや年金課税強化で対応すべきである。また若い世代のお蔭で余計に相続資産を残せるわけだから、「年金目的の新型相続税」を作るべきだという。また、遠い将来の世代まで薄く広く負担する「年金目的の追加所得税」を創設すべきだという。全く納得できる提案なので賛成だ。

 同紙に、政府が6月に発表した「若者雇用戦略」に関する記事が載っていた。デフレで成長できない企業は解雇できないため採用を手控え、若者が就職できない状況が続いている。若者が働く場を得るには、若者自身の能力を高めることと、企業が採用をためらわないように雇用規制を緩和することが不可欠である。ところが、大胆な教育改革には保守的な教育界、解雇規制の緩和については労組が抵抗勢力となって、一向に改革は進まない。イタリアではモンティ首相が業績悪化による解雇に道を開き、外国企業を呼び込み、企業の経営戦略の転換を促す方向に舵を切った。

 経済成長のためには企業の自由度を上げることが重要であることを説得しつつ、一方で生活の不安を解消する福祉政策を同時に提示できない日本の政治家の責任でもある。

 日本の政治家は、若者よりもたくさんの票を持つ労組や中高年の方を向いて、中途半端な政策で対処療法ばかりでお茶を濁しているから、世界から取り残されるという。だが、これは選挙のためにバラマキ甘言を発する政治家を選択する選挙民、自分の目先の利益ばかりを考え日本の将来を考えない国民の責任にほかならない。

 

2012年4月 5日 (木)

介護崩壊時代

和田秀樹「人生を狂わせずに親の『老い』とつき合う」2012 (講談社+α新書)を読む。

  日本の社会福祉は、財政難から大幅な見直しが必須となっており、介護制度の見直しも例外ではない。自分にとっても、介護の問題はかなり身近で切実な問題になってきた。どう考えたらよいのか、どうすべきなのか、手がかりを求めてこの本を手に取った。

●医師不足による「医療崩壊」よりも、「介護崩壊」の方が深刻だと和田氏は言う。

・介護疲れによる自殺、心中、虐待、殺人が増えている。
・公的介護サービスや施設の不足による「介護うつ」の患者は10万人程度いる。
・介護のために離職する人も年間15万人になり、02年からの総数は56万人になる。
・特に06年の介護保険法の改正で、在宅サービスの制限がきつくなってから増えた。
・09年で要介護者は475万人、特養の待機者は46万人だが、総定員数は41万人しかない。
・日本は65歳以上が94年に14%を超え高齢化社会、07年に21%を超え超高齢化社会に。
・要介護者が急増するのは85歳以上。介護者が不足する介護地獄が今後10年で本格化。

●高齢化が進む一方で、介護する子供の数が減るので問題がどんどん深刻化するのだ。

                                       
・急激な少子化は団塊世代以降。出生率は47年4.54、57年2.04、07年1.03と下降。
・介護する子供の数が減り要介護者が増えるから、まともな在宅介護は出来なくなる。
・2人兄弟の時代は実家に誰も残らず、地方の老親を都市から通いで介護する事が増加。
・収入の低い非正規労働者の独身者が増加。これから親の介護どころではない現実。
・施設介護を拡充すれば解決するのに、不足のため保険料を払っても受けられない矛盾。

●施設介護は、なぜ遅れているのか。それは政府や厚労省が施設介護ではなく、在宅介護を進めているからだ。「在宅介護は日本の美風」とか、「親を施設に入れるのは忍びない」、「嫁や娘が介護するのは当たり前」という価値観は洗脳によるものだという。なぜならば、日本にそのような伝統はないからだ。

・戦前の日本は、結核などで先進国で最も短命な国。平均寿命は50歳以下。50年で61歳。
・長寿化でアルツハイマーが増えたが、医療技術の進歩で高齢者を死なせなくなった。
・老衰死を受け入れず、在宅介護が必要になる人を医療が、大量に作り出した。
・特養でも手厚すぎる医療をするので寝たきり期間が長く、施設不足の原因にも。
・高齢者が少なかった90年代半ばまでは、「社会的入院」と言われ病院が施設介護。
・高齢者が増え医療財政が赤字化。国は介護施設を作らずに社会的入院だけを削った。
・介護保険で介護医療を定額化することで、病院が「社会的入院」を避けたため崩壊。
・介護を担う女性や身内や地域社会のバックアップもなくなった。
・まだ超高齢社会に入って5年ほどなので、両親とも存命で「老老介護」が可能だった。
・15年位前には、定年後生きている期間は10~15年。退職金は年収の3~5年あり安泰。
・現在は定年後20年は生きるが、退職金は年収の1年分程度。有料老人ホームは無理。
・家族が切羽詰った状況で在宅介護をするほかなくなったのは、ここ10年か15年のこと。

●在宅介護から施設介護に切り替えるべきだ。介護サービスの見直しも急務である。

・無理な在宅介護より、低料金の特養に預けるのが絶対にいい。しかし数が足りない。
・施設をもっと作り、官制ワーキングプアの介護労働者の待遇改善に金を使うべき。
・厚労省は医療より介護に金を使うべき。医療費の自然膨張より予防医学的に介護を。
・特養は立派すぎるので、コストを抑え数を増やすべき。
・高い料金で空いている個室より大部屋で効率を上げ、数を増やすべき。
・デイサービスが日中だけなのも、専業主婦が介護する前提のため。非現実的な制度。
・介護の社会化によって中年の女性が仕事を辞めなくてもいいシステムを作るべき。

●国や自治体が施設介護を進めないのは、在宅介護の方が出費が少なくて済むからだ。介護問題を解決するには、財政や労働力不足の問題を解決しなければならない。

・労働力として65歳以上の活用は必要。在宅介護はマンツーマンなので労働力を減らす。
・在宅介護中心だと、労働力不足で国全体の生産性が低下し経済の活力が失われる。
・要介護者は1千万人をこえ、介護難民も1千万人を超えることになる。
・超高齢社会を放置すると、さらに高齢化が進む。年金より深刻な介護。
・今の日本の最大の問題は、介護問題の放置という恐ろしいことを平気でやっている点。
・日本は世界でも珍しい国。10年後、20年後への想像力を働かせない。

●財政難の大きな原因である高齢者の社会福祉。財政を考えると増税・保険料値上げ・自己負担率アップと社会福祉サービスの縮小以外に方法はない。勿論その前に、あらゆる無駄を排除して、少しでも財源を増やさねばならない。和田氏の言うように、医療より介護を手厚くすることや、介護施設・介護サービスの見直しも必要だ。
 また、鈴木亘氏が言うように、介護サービスの価格自由化・参入規制撤廃、介護労働者の賃金引上げが必要である。

 一体誰がそんな政策を進めてくれるのだろう。近い将来に介護地獄がやってくることは明らかなのに、圧力団体のある医療に比べ介護はほとんど無視されている。残念ながら、難しい問題は対処療法で済ませ、どうしようもなくなるまで放置するのが、この国の悪い癖のようだ。

●今日の日経新聞に、雇用と賃金の記事が出ていた。
パートや派遣社員などの非正規労働者の割合は、92年末の2割から11年末には36%(東北3県を除く)に上昇したという。雇用構造も、製造業等の第2次産業が減少し、第3次産業が増えたが、その半分は医療・福祉分野である。しかもこの分野はパートの比率が高いため、平均賃金が大幅に低下した。
 介護にとって、問題は深刻になるばかりである。

2012年1月15日 (日)

教育・研究投資の必要性

2、3日前のテレビで、普通の皮膚細胞から万能細胞を作り出す技術を開発した京大山中伸弥教授のiPS研究の実態が報道されていた。山中教授は日本の研究環境が貧弱なため、実用化の研究ではアメリカに負けそうだというのだ。

 日本政府も重要性を認め、国家プロジェクトとして支援する姿勢は示しているが、予算は91億円とその規模が小さい。一方の米国は寄付等も含め、1900億円だという。アメリカの研究所の様子も報道されていたが、潤沢な予算と研究環境を求め、世界中から研究者が集まっているだけでなく、研究論文用のグラフィックデザイナーさえ雇っている。一方、山中教授の研究所では、200人のうち、京大職員は20人で、教授はその他の研究者の不安定な雇用に頭を痛めているという。もっと真剣な支援が必要なのだが、ここでも財政赤字がネックになっている。

 朝日新聞に、引用度がトップクラスの科学論文の世界シェアを、米日中英仏独の6か国で比べると、日本だけが00年度をピークにシェアを落としているという記事が載っていた。先進各国は国際共著論文を増やす方向を目指しているのに対し、日本だけが国内志向で、海外への留学生も減少しているという。科学でも日本の地盤沈下が進んでいるようだ。
 同じ新聞に、01年に337あった日本の官民のシンクタンクの数が11年には201に減少したという記事もあった。研究成果も、同様に半減しているという。原因は、国の財政が悪化し、また企業収益も低迷しているため、研究に投じる予算が無くなるあるいは減少しているからだ。民間では委託費が競争入札になっていることも苦しい原因だという。

 先進国の中で、日本は教育予算の比率が圧倒的に少なく、特に高等教育への予算が少ない。資源がなく、知識産業や技術で生きるしかない国なのに、こんなことでよいのか。ここにも公共投資すべきものが見つかった。
 日本の国家予算は一体どういうビジョンの元に、どういう配分で組み立てられているのか、要チェックだ。

2011年7月29日 (金)

科学者の良心

あるブログで教えていただいたyoutubeを見て衝撃を受けた。7月27日 (水) 衆議院厚生労働委員会に参考人として招致された東京大学アイソトープ総合センター長の児玉龍彦教授が、福島原発事故の処理に関して「国会は怠慢だ」と怒りを顕わにして訴えた。( http://sun.ap.teacup.com/souun/5134.html

福島第一原発で露出した放射能の総量を熱量から計算すると、なんと広島原爆の29.6個分に相当し、しかも放出から1年後の放射線汚染物残存量は、原爆が千分の一になるのに対し、原発は十分の一にしかならないと言う。つまり今回の福島原発の問題はチェルノブイリ事故と同様、原爆数十個分に相当する量と、原爆汚染よりもずっと大量の残存物を放出したと考られると言う。

放射性物質の微粒子は、非線形的に拡散していくから、20キロ、30キロといった避難区域は無意味で、現に遠くは200キロ以上はなれた静岡まで飛んでいる。従って線量計を大量に供給して、あらゆる場所で個別に測定する必要がある。土や水だけでなく樹木も建物も野菜も稲ワラも汚染されている。特に内部被曝は、幼児の健康に対する影響が大きく、しかも20年30年経ってから、ある物質では25%がガンになるという非常に怖いものだ。すでに福島の母親の母乳から2から 13ベクレル、7名から検出されているという報告があったとのことである。

ある程度予想されたことではあるが、科学者の言葉は重い。「安全だ安全だ」とのたまう政府や東電・御用科学者の言葉は一体何なのか。科学者と言えども、人の子。悲しいかな、金をもらっている人や、生活を支えてもらっている組織に対しては、本当のことが言えないということなのか。サラリーマンが、会社に対して言いたいことの半分も言えないのと同じことだと言われれば、それまでだが。何万と言う国民の命に関わるウソや隠蔽は許されることではないだろう。

最後に、児玉氏は四つの緊急提言をしている。
第一に国策として、日本がもってい る最新鋭のイメージングなどを用いた機器で、食品、土壌、水を、徹底的に測定していくこと。
第二に緊急に子どもの被曝を減少させるために、新しい法律を制定すること。今の法律では除染作業が、全て法律違反になってしまう。
第三は、国策として土壌汚染を除染する技術に、民間の力を結集すること。日本の企業は様々な放射線の除染のノウハウを持っている。
第四に、これらの力を結集して、ただちに現地に除染研究センターを作ること。今のままだと何十兆円という国費をかかるのに、これが利権がらみの公共事業になりかねない。

この提案に対し、政府はどこまで実行するのか、注視したい。

「七万人の人が自宅を離れて彷徨っているときに 国会は一体何をやっているのですか。」と言う最後の怒りの言葉は、科学者の良心からほとばしり出たものとして、非常に胸を打った。日本には、まだ全てを投げ打ってでも言うべきことを言う人間がいたことを誇りに思う。

2011年7月18日 (月)

利己主義社会

放射能で汚染された福島の牛肉が問題になった。またまた想定外との言葉が聞こえたが、とんでもない話だ。直接人の口に入るものを規制対象として優先したと言うが、汚染されたエサを食べた牛の肉や牛乳が汚染されているのは当たり前。チェルノブイリの教訓に学べと言わなくても、少し考えれば分かることだ。危機意識が足りないと言うか、詰めが甘いと言うか、やることが遅すぎると言うか。本当は分かっていて、ショックを和らげるためにまた小出しにしたと疑いたくなる。

そもそも汚染区域を、小出しに拡大していることが許せない。水素爆発の当日の風向きから、当に分かっていたはずの汚染区域を同心円で20キロと発表したこと自体が、間違っている。汚染区域外であると思えば、野菜でもお茶でも水でもエサでも自由に流通してしまう。市町村や市民が測定器で量ったことにより、汚染の事実が明らかになってしまってので、政府や県が仕方なしに発表しているとしか思えない。当然、対策は後手後手となり被害は拡大するし、ますます信用もなくなる。

原子力政策自体が、ウソに塗り固められている。政治家も電力会社も官僚も御用学者も自分の都合のために平気でウソをつく。国民もマスコミも事実をキチンと見極めようとせず、科学的な判断をせずに感情に流され、その時の気分ですぐに反原発になったり原発推進になったりする。社会全体のことを考えたり、何が優先されるべきかを考えたりせずに、私利私欲に走ったり、自己の正当化ばかりを考えている。

日本の原発が危険なのは老朽化のせいもあるが、それ以前にリスク管理ができていないからだ。そもそも国民の命が優先的に守ろうという意志がどこにもない。日本の技術力で全力投球すれば安全な原発も可能なのかも知れないが、利己主義に染まった今の政官財の人たちに、危険な原発を運営する資格はないし、とても怖くて任せられない。

かつて原子力委員会にいた武田国彦氏が、石油が後40年で枯渇すると言うのはウソ、CO2の増加で温暖化が急速に進んでいると言うのはウソ、自然エネルギーが地球に優しいと言うのはウソと言っていることが気になっている。

2011年7月11日 (月)

震災後4ヶ月

震災後4ヶ月も経つと言うのに、被災地の復旧は進んでいない。瓦礫すら35%しか片付いていないという。いまだ多くの人々は避難所生活を強いられている。学校も仮住まいだ。1割程度だった困窮家庭が、9割になったと言う。仕事を失ったのだから、当然だ。それなのに、救いの手は一向に届かない。

放射性物質は相変わらず日本の空に降り注ぎ続けている。技術の粋を尽くしたはずの汚染除去装置も故障続きで冷却装置もやっと動き出した所だ。汚染拡大を止める覆いを架けるまでにはまだまだ時間が必要だ。政府発表の30キロ圏を逃れて飯館村に避難したばっかりに被爆した住民たちに、誰がお詫びしただろう。

にも拘らず、政治は一向に機能していない。復興大臣は、9日で辞任する始末。菅首相は、ころころと方針を変え、政権内も民主党内もばらばら。自民党も政権交代のチャンスとばかり、足を引っ張ることしか考えていない。

めどがついたら辞めるといった菅首相がこだわる再生可能エネルギー特別措置法案なるものも、自然エネルギーを現在の電力10社に買い取らせれば、電気料金を値上げしてツケを国民に回すだけ。経産省を操る電力会社の利権の源を増やすだけ。何も変わっていない。

官僚は電力会社と組んで、脱原発の足を引っ張る。電力が足りないのは本当なのか。東電は、埋蔵電気の送電を拒否していると言う。単に原発を守ろうとしているだけではないのか。それが端的に出たのが、九電のやらせメール事件。

もっとも、日本の企業も政府も、隠蔽ややらせは当たり前。自分のことしか考えない利己主義と責任逃れがはびこっている。今の時代内部告発が当たり前だから、ばれるに決まっているのに、まず隠そうとする。日本は何時からこんなにウソで塗り固めた国になってしまったのか。日本社会の仕組みも、日本人の心も本当に変になってしまった。苦しみの中で立ち上がろうと頑張っている被災地の人たちの方がよほど輝いて見える。

お薦め本

  • 鈴木亘: 「財政危機と社会保障」
  • 波頭亮: 「成熟日本への進路」
  • 中野剛志: TPP亡国論
  • 増田悦佐: 日本と世界を揺り動かす物凄いこと
  • 古賀茂明: 日本中枢の崩壊

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