映画・テレビ

2015年3月19日 (木)

映画「それでも夜は明ける」を観た

2013年公開の実話に基づく米国映画。

1853年にソロモン・ノーサップが書いた体験記「奴隷としての12年間」が原作。
自由黒人だった彼が誘拐され奴隷として売られてしまったという話だが、
当時の奴隷たちが置かれていた悲惨な状況がリアルに描かれており、胸が痛んだ。
人間を所有物として扱う奴隷制度が、19世紀までは当たり前ことのようにあったことに改めて驚く。
奴隷制度など絶対にあってはならない、という強いメッセージが伝わるが、
根底にある人種主義や民族差別の問題が今なお存在することに、
人間の哀しい性を感じた。

2015年3月 1日 (日)

映画「悼む人」を観た

 天童荒太の直木賞作品の映画化。
 不慮の死を遂げた人を悼むために全国を旅する青年静人の物語。
それを奇妙に思う世間に対し、それを温かく見守る家族。
そんな彼に、夫を殺した倖世、父を憎む雑誌記者蒔野が関わり、
彼の奇妙な行動に引き込まれていく。
二人には、親子・夫婦のドロドロした不幸な関係から生まれた
歪んだ愛と憎しみがあったのだが、それが癒される。
 重く暗いテーマの映画だが、最後は希望の光が見えて温かい気持ちになる。
 母親が「静人を褒めてやりたい」といい、
蒔野は「父に褒めてもらいたかった」という場面が印象的。
人は愛されたり褒められたり感謝されたりすることで生きられる、ということか。
 倖世役の石田ゆり子の演技が光っていた。

2014年11月30日 (日)

映画「めぐり逢いのお弁当」を観た

 インド映画のイメージを覆すしっとりしたラブストーリーだった。弁当を作っても夫の反応が薄く会話のない主婦。その愛妻弁当が、定年間近の妻に先立たれた中年男に偶々誤配され、二人はめぐり逢う。

 寂しい二人の境遇設定もキャストもぴったりで、短い手紙により二人の心が通い合うプロセスが味わい深く、じんわりと心に浸みた。

 やっぱり人間関係には会話が必須で、それも心のこもった言葉が大事だとのメッセージ。いつも女房に生返事ばかりしている自分を思い出して反省。

2014年11月 6日 (木)

「大統領の執事の涙」を観た

 7人の米大統領に仕えた黒人執事の実話に基づく物語。

白人に反発する自分を抑えて白人に仕えることで出世を遂げたのだが、妻や息子の反発に遭い、道のりは平坦ではなかった。
人種差別の実態を映像で見せられ、憤りと悲しさで胸が一杯になった。
黒人の公民権運動と歴代大統領の決断によって少しずつ改善され、黒人大統領を生むまでになった米国だが、それはつい最近のことだ。
彼が言うように、米国は他の国の人権問題を批判する資格などないと感じた。
辞職して自分を抑える必要がなくなった彼の晴々とした顔が忘れられない。
最後のシーンも感動。

2013年9月28日 (土)

「風立ちぬ」の批評を読む

 宮崎駿監督の最後の作品ということで「風立ちぬ」を期待して観た。これまでの総決算だけに技術的には素晴らしい出来栄えだった。意外性のあるアングル、ダイナミックな動き、光・風・雨・雪・川・雲などの描写力はやはり凄い。昔の日本の街並み・服装・車などもリアルで懐かしく美しい。堀越二郎の飛行機作りに掛ける情熱は技術屋として共感する。菜穂子の愛と死もほろりとさせる。全体として美しく穏やかな流れで上手くまとまっている。しかし、震災や戦争に対しても、死にゆく妻に対しても、どこか冷静で淡泊に表現されているのは、技術屋だからということなのか。何か物足りない感じがした。

 上記の感想を書いた翌日の夕刊に沢木耕太郎が「風立ちぬ」の批評をしていた(130927朝日新聞「銀の街から」)。さすがプロの評論家は違うと、この批評に大変感銘を受けた。自分が言いたかったことを適切な言葉で表現し、しかもそれがなぜかを見事に分析してくれている。

 沢木は、「これは宮崎駿の作品ではない」と断ずる。飛行機作りへの情熱と菜穂子への愛の二つの要素についてこう述べる。

 ”だが、この二つの要素は、映画の中で、有機的な融合がなされていない。問題は、  主人公が昇るべき「物語の階段」が存在していないというところにあったと思われる。”

そこが、これまでの宮崎作品との決定的な違いだというのだ。これまでの主人公たちは、
 ”意識するとしないとにかかわらず、自分自身の「物語の階段」を徐々にのぼっていっ た。彼らはその「物語の階段」を昇り降りすることで「成長」していくことになる。”
 ”二郎の前には、多少の風は吹き渡っていても、凸凹のない平原があるだけだ。険しい 山もなければ、深い谷もない。この映画には、あたかも「バリアフリー」化されてしま った室内のように「段差」が存在しないのだ。”

 ”物語の重要な転換点をすべて「夢」で語らせようとしたところに無理があったと思わ れる。「夢」は物語の決定的な「段差」を作ることはできない。”

 ”ジェット・コースターが高みを目指してゆっくり昇っていき、最高到達点から一気に 下り降りる。作品によって、昇る速度や最高到達地点は違っていても、宮崎駿の作品に はすべてにその快感があった。”

 これまでの作品にあった快感がこの作品では失われてしまったから、「子供たちが退屈する」のであり、沢木としても、この一本で終わりにするのではなく「諦めきれない快感の続き」を観させてほしいと宮崎に訴えるのだ。

 まったく同感である。自分が感じた物足りなさは、この映画の淡泊さであり、盛り上がりがないことだったが、それは沢木のいう「物語の階段」の欠如だったのだ。ついでながら、沢木は「主人公の声」が良くなかったとも言っている。感情の起伏がないためだが、これも同感だ。

 物語は面白くなくてはいけない。そのためには、目標を持った主人公が困難にぶち当たり、それを苦労して克服し、見事目標を達成すると同時に成長するという要素が必要だ。そこに人々は共感するのだということを、改めて気づかせてもらった。

2013年8月 2日 (金)

2013年6月・7月の鑑賞メーター

2013年7月の鑑賞メーター
観たビデオの数:3本
観た鑑賞時間:252分

■Admission [DVD] [Import]
飛行機の中で日本語版を観た。プリンストン大学のAO入試の審議官の女性が主人公のコメディ。バリバリのキャリアウーマンで厳しく仕事をしていた彼女が、私情に囚われるとエコヒイキで滅茶苦茶な審議官に変貌していく様が、面白おかしくまた微笑ましく描かれている。そこまでやっていいの?というところがコメディだが、充分に楽しめる。その変貌ぶりをティナ・フェイが好演。
鑑賞日:07月22日 監督:Paul Weitz
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2482986

■のぼうの城 通常版 [DVD]
天下の豊臣軍・石田三成勢の2万人の大軍に屈せず、500名の兵と農民で抗戦し勝利した成田長親を描いた時代劇。一見、でくの坊でどうしようもないように見えるが、どうしてかなりの戦略家。戦うには何よりも兵や農民の一致団結と志気が大事と心得ていたのだと思う。そのとぼけぶりが実に面白かったし、萬斎の演技も見事だった。

鑑賞日:07月18日 監督:Array,樋口真嗣
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2474727

■華麗なるギャツビー(レオナルド・ディカプリオ主演) [DVD]
1920年代のアメリカの大富豪の豪華な生活を垣間見ることができ、それはそれで楽しめたが、ギャツビーの恋愛物語には余り感動も驚きもなかった。夜毎の派手なパーティを仕切る彼の自信に満ちた外面と、唯一の友人ニックに見せる内面の不安や弱さの対比は良く表現されていたが、昔の恋人デイジーがさほど魅力的には描かれていない気がして、感情移入できなかった。彼らの虚飾に満ちた華麗なる生活の空虚感だけが印象に残ったのだが、それがこの映画の狙いだったのか?

鑑賞日:07月07日 監督:
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2451941

6月の鑑賞メーター
観たビデオの数:1本
観た鑑賞時間:170分

■3 Idiots  きっとうまく行く[DVD]
インドの名門理系大学の寮で同室の男子学生3人組が引き起こす騒動を描いたもの。コメディ、ラブストーリー、アクション、ミステリーの要素が詰め込まれており、充分に楽しめた。従来のインド映画とは違って「歌と踊り」が控えめで、画面も洗練されテーマも明確。主人公ランチョーの自由な生き方は痛快そのもの。金や出世のための競争、家族のための犠牲、努力より神頼み等を否定し、後悔しない生き方、行動する勇気、友情の大切さを伝える。「きっとうまく行く」は、主人公が勇気を奮って困難に立ち向かう時の自己暗示の言葉。言葉が行動を導き人生を変える。
鑑賞日:06月16日 監督:Rajkumar Hirani
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2407201

▼鑑賞メーター
http://video.akahoshitakuya.com/

2013年6月 1日 (土)

5月の鑑賞メーター

5月の鑑賞メーター
観たビデオの数:3本
観た鑑賞時間:375分

■おとうと <通常版> [DVD]
夫を亡くし一人で娘を育て上げた吟子と、酒やお金にだらしない弟鉄郎との絆を描いた映画。仕事と家事をこなしながら娘と姑の面倒を看る吟子に、更に苦労を掛け続ける鉄郎。そんな弟を理解し許す吟子と、その吟子が驚く明るく献身的なホスピスの人たちに、改めて人間の優しさの大切さを教えられる。鉄郎も姉の有難さを分かっているから、病床でそれを必死に伝えようとする。その姿に思わず涙する。姑の一言に、気丈だった吟子が涙する最後のシーンは、今までの苦労が報われ吟子の幸せを暗示していてとてもいい。吉永小百合と鶴瓶の配役がピッタリ。
鑑賞日:05月21日 監督:山田洋次
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2342885

■ワン・デイ  23年のラブストーリー [DVD]
互いに惹かれながらも友達でいることを選択した真面目なエマとプレイボーイのデクスターは、年に一回7月15日にデートする約束をし、23年間続けたのだが、・・・。互いに好きでもない相手と結ばれて行く展開は、見ていて本当にじれったく、作り手の狙いに見事にはまってしまう。そして最後にショックを受ける。アン・ハサウェイが好演した愛らしいエマを何とか幸せにしてあげたかったと、つい感情移入して思ってしまった。その分、憎たらしいデクスターの奔放振りが、真面目な両親との対比で上手く演出されていた。良くできたラブストーリーだっ
鑑賞日:05月05日 監督:ロネ・シェルフィグ
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2302208

■ショーシャンクの空に [DVD]
ショーシャンク刑務所に送られてきた元銀行員のアンディと20年前からいて調達屋として囚人仲間の信頼の厚いレッドとの友情を描いた物語。囚人たちが「最初は憎み、そして慣れ、最後は頼る」ようになる悲しい施設の中にあっても、希望を持って一生懸命生きようとするアンディに刑務官も仲間もそして観る者も惹きつけられる。「人から希望は奪えない」という強い信念が彼を支える。結局そこで20年を過ごすのだが、あくどい所長の仕打ちに絶望し反撃に出る。痛快であっと驚くような展開があって、最後は幸せな気持ちになる素晴らしい映画だった。
鑑賞日:05月02日 監督:フランク・ダラボン
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2292215


▼鑑賞メーター
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2013年5月 2日 (木)

2013年4月の鑑賞メーター

2013年4月の鑑賞メーター
観たビデオの数:2本
観た鑑賞時間:229分

■1911 [DVD]
清王朝打倒により中国に共和制をもたらした辛亥革命の指導者孫文を描いた映画。1911年の武昌蜂起から南京臨時政府成立、清皇帝の退位、孫文の大総統辞任までを描く。アメリカで資金を調達する孫文と闘争を指揮する黄克強との絆、孫文と皇帝に退位を促す清朝の袁世凱との駆け引きが見どころ。なぜ孫文が最後に袁世凱に権力を譲ったのか、を映画も問うている。それが失敗だったことはその後の歴史が示している。それにしても、権力を倒すためになんと多くの若者の命が犠牲になるものか、改めて勉強にはなったが、映画としての感動は少なかった。
鑑賞日:04月20日 監督:Array,チャン・リー
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2259304

■ミッシングID コレクターズ・エディション [DVD]
米国の高校生である主人公は、偶然自分の子供の頃の写真を失踪児童のウェブサイトで見つけ、両親が本当の両親なのかに疑いを持つ。サイトの管理人に連絡を取った途端、両親が殺され、殺し屋とCIAから追われる身となる。ハラハラする追走劇にどんどん引き込まれる。徐々に「自分が誰だったのか」が明らかになるのだが、次々に意外な方向に展開するストーリーが抜群に面白く純粋に楽しめた。メッセージ性はない。

鑑賞日:04月06日 監督:ジョン・シングルトン
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2225782

▼鑑賞メーター
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2013年4月 1日 (月)

3月の鑑賞メーター

3月の鑑賞メーター
観たビデオの数:2本
観た鑑賞時間:249分

■あなたへ DVD(2枚組)
妻を亡くした老刑務官が、妻の故郷へ車で旅をして様々な人と出会い、最後は遺言の手紙を受け取り、海に散骨をするという物語。出会う人たちは明るく見えても皆、心に悲しい秘密を抱えており、人の良さそうな主人公に打ち明ける。「悲しみを早く乗り越えて、自分の時間を生きなさい」との妻からのメッセージは、出会った人たちにも、観客にもそのまま当てはまる。夕日が沈む物悲しく美しい海も、日に照らされれば明るく元気な海となる。高倉健の悲しみに沈み込んだ表情が、本人の年輪と相まって味わい深く、涙を誘う。
鑑賞日:03月31日 監督:降旗康男
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2211842

■フライト
パニック物かと思っていたら、事故は最初に起こった。優秀なパイロットのお蔭で死者は最小限に抑えられたのだが、彼には秘密があった。人間、程度の差はあれ、その誘惑に負けると後で後悔するようなモノを持っている。更にそれを隠すためにウソをつく。そして周りに迷惑を掛ければ尚更、自己嫌悪に陥り苦しむことになる。だから観る者も彼の苦しみは良く分かり心に響く。最後は彼が立ち直ることで観る者も救われる。モノからもウソからも解放され自由になった彼の清々しい顔がいい。
鑑賞日:03月05日 監督:ロバート・ゼメキス
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2141954

2013年3月 2日 (土)

2月の鑑賞メーター

2月の鑑賞メーター
観たビデオの数:4本
観た鑑賞時間:557分

■ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日 [Blu-ray]
パイと呼ばれる青年が遭難し、一匹のトラと漂流し、荒れる海・トラ・飢えとの戦いの中で努力と運により奇跡の生還を果たすという物語。最後に、保険会社に説明しても信じてもらえず、仕方なく作り話をするのだが、どちらが本当の話か分からなくなる。冒険物語的な面白さはあるが、何やら出来過ぎていて余り感動的とは言えない。ツイッターで町山智浩氏が「漂流は精神的な旅のメタファー」だという米国での一般的解釈を紹介している。トラは、無人島は何を意味するのか考えると面白い。穏やかな海のシーンはとても美しく素晴らしかった。
鑑賞日:02月28日 監督:
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2127068

■RAILWAYS [レイルウェイズ] [DVD]
東京の大手メーカーのポストを捨てて故郷の電鉄会社に再就職し、49歳で電車の運転手になった男の話。東京では常に仕事でイライラしていた主人公が、子供の頃からの夢を実現し生き生きした姿に変貌すると、見ている方も嬉しくなる。全体に「やりたいことをやらないと後悔する」という主題が貫かれ、娘や同期入社の青年も主人公がアドバイスしてそれぞれの道を見つける。好きなことを別々の場所でやりながら夫婦関係や親子関係が成立するのかという難問には、中途半端な答えしか出していないが、いい映画だった。
鑑賞日:02月18日 監督:錦織良成
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2098351

■ALWAYS 三丁目の夕日'64 DVD通常版
東京オリンピックが開かれた昭和39年は、日本が戦後の復興から高度成長に向けて走り出した時代。三丁目はまだ、家族もご近所も会社も人間関係が暖かく幸せに満ちていた。「幸せとは、お金儲けでも出世でもなく、人に喜んでもらうこと」という宅間先生の言葉が、今の日本へのアンチテーゼとなっている。映画としては、漫画的なオーバーな表現が全体の質を下げている気がする。六ちゃんが社長の家族のようになるのはいいが、故郷の親を無視するのはやはり変だ。
鑑賞日:02月17日 監督:山崎貴
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2094794

■マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 コレクターズ・エディション [DVD]
「鉄の女」と呼ばれた英国のサッチャー首相の半生を描いた映画。彼女が認知症になっている様子を描く所から始まることに先ず驚かされた。英国経済を建て直した首相としてリスペクトしているわけではなく、さりとて労働組合を抑圧した首相として批判しているわけでもない。国家のために強く生きる女性としてだけでなく、夫や子供への愛情を持った女性としても描かれている。要するに、彼女のありのままの生き様がドラマチックなのだ。その凄まじい変貌ぶりをメリル・ストリープが見事に演じている。だが今一つ心を揺さぶるような何かが欠けている。
鑑賞日:02月13日 監督:フィリダ・ロイド
http://video.akahoshitakuya.com/cmt/2083111


▼鑑賞メーター
http://video.akahoshitakuya.com/

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